Amazonは、1つの商品ページに対して、複数のセラーが販売する相乗り出品という仕組みです。
しかし、独占販売やOEM販売をしている物販事業者にとって、知らないセラーに勝手に相乗り出品されるというのは困ります。
最悪、価格競争に陥ってしまい、自社商品のブランド力の低下に繋がってしまう恐れがあるので排除しないといけません。
そこで、今回はAmazonの相乗り出品を確実に排除する方法について解説します。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- 相乗り出品を防ぐ方法がわかる
- 相乗り出品を排除することで自社ブランドを維持できる
- クラファン終了後の一般販売のトラブルを防ぐことができる
Amazonの一般的な相乗り出品対策
自社オリジナル商品をAmazon販売する際、そこまで売れなければ相乗りされるリスクはほとんどありません。
しかし、売れ行きの良い魅力的な商品になると、転売ヤーなどから相乗り出品されてしまう可能性が高くなります。
せっかく安定的に収益が得られるようになったのに、そこを狙われてしまうわけです。
一般的なAmazonの相乗り対策としては、次のような方法があります。
- 販売価格を下げる
- セット品や特典(おまけ)を付ける
- 商標権を取得してブランド登録する
このなかで、前者2つは極力おすすめしておらず、確実に相乗りを排除するには商標登録を検討することがおすすめです。
具体的に解説します。
販売価格を下げる(非推奨)
自社オリジナル商品を販売しているなら、絶対におすすめはしないですが、相乗り対策で一番手っ取り早いのが販売価格を下げる方法です。
Amazonで相乗り出品されてしまい、しかも自社で販売する価格よりも安い価格で販売されてしまうとカートボックスを獲得できません。
カートボックスとは、Amazonで商品を購入する際の「カートを入れるボタン」を含むエリアのことです。
Amazonの消費者の多くは、カートボックスから購入することが多いので、カートボックスを獲得したセラーが、一番売れ行きが良くなります。
カートボックスの獲得条件には様々ありますが、このなかに販売価格も含まれているため、販売価格の低いセラーがカートボックスを獲得しやすくなります。
そのため、販売価格を下げると一時的に商品が売れやすくなりますが、相乗りセラーがプライスターなど自動価格追従ツールを持っている場合は、すぐに販売価格を下げてきます。
そうなると、カートボックスの取り合い、価格競争が泥沼化して最悪価格崩壊になりかねません。
また、販売価格を下げることでブランド力は低下しますし、実店舗へ卸販売している場合は「Amazonで販売価格を下げないでくれ」とクレームが来ます。
クラウドファンディング終了後の一般販売であれば、支援者の先行者利益の確保ができなくなる点も問題です。
特に長期的に自社ブランドを育てたい場合は、Amazonに限らず販売価格を下げるということは基本的に避けるようにしましょう。
セット品や特典(おまけ)を付ける(要注意)
Amazonの相乗り対策として、もう一つ考えられるのが、セット品やおまけを付けて真似を防ぐ方法です。
たしかに付属品を付けたり、セットにしたりおまけをしたりすることで相乗り対策にはなります。
しかし、セットやおまけを作れば余計に仕入れ代金がかかり利益率が下がってしまいますし、Amazonの規約には注意しなければなりません。
商品と関連性のないおまけや付属品を付けてしまうと、Amazonの規約違反になってしまいます(景品類の提供に関する法令遵守)。
また、おまけについては、販売価格が1,000円以上の場合はその販売価格の2/10以下、販売価格が1,000円未満の場合には200円以下であることが必要です。
相乗り対策でアカウント停止・閉鎖に至るようではたまったものではないので、必ず商品に関連するものを付属品にしましょう。
また、こちらについても販売価格によりますが、クラファン終了後の一般販売の場合、先行者利益を確保できない可能性もあるので注意してください。
商標権を取得してブランド登録する
相乗り対策で一番確実な方法が、商標権を取得してブランド登録する方法です。
商標権を取得することで、Amazonでブランド登録して独自のブランドとして出品することが可能です。
商標権を持っている商品であれば、誰かが勝手に相乗り出品した場合、排除できるようになります。
物販でAmazon相乗り出品したことがある方は、販売メーカーの通報で真贋調査の通知が来て、焦って出品を取り下げたことがある方もいるでしょう。
また、ブランド登録することで、スポンサープロダクト広告以外の広告が利用できるようになるメリットがあります。
商標登録するメリットや、商標登録の方法は、以下の記事を参考にしてください。
商標については、既に一般販売で売れている商品でなければ相乗りされるリスクはほとんどないので、慌てて取得する必要はありません。
しかし、早期審査であっても取得に3~6ヶ月程度かかるため、一般販売で売れている商品や力を入れたい商品は検討しておくといいでしょう。
Amazonのブランド登録方法
無事に商標権を獲得できたら、Amazon Brand Registryに登録することで、ブランド登録ができます。
2023年1月現在の登録方法で、頻繁に仕様が微妙に変わることもありますが、参考にしてください。
【Amazonのブランド登録方法】
①「Brand Registry」をクリック。
②出品者用アカウントと同様のパスワードを入力する。
③「新しいブランドを登録」をクリック。
④ブランド情報を入力する。登録番号は忘れたらJ-PlatPatなどで確認してください。
⑤商品情報を入力します。自社ECサイトを保有している方は任意で入力します。
⑥出品者アカウント情報を入力します。
⑦流通ライセンス情報を入力します。
このあと、ブランド登録が通ったかどうかのメールが来ます。もしブランド登録できた場合、確認コードなどの入力事項があれば、案内に従って入力して完了です。
ブランド登録がうまくいかなかった場合は、再申請してください。
Amazonに通報して相乗り出品者を排除する方法
商標権を取得し、ブランド登録が済んでいる場合、以下の方法で相乗り出品者が出てくればAmazonに通報して排除できます。
相乗り出品者には、主に次の2つのパターンが想定できます。
- 相乗り出品者の商品が偽物である(自社ロゴがない)
- 商標権/知的財産権の侵害である(自社ロゴがある)
いずれのパターンにしても、相乗り出品者の商品をテスト購入して、以下の操作をしていきます。
①Amazonセラーセントラルの画面で「パフォーマンス」⇒「アカウント健全性」をクリック。
②アカウント健全性ダッシュボードで「不正または違反を報告」をクリック
③「知的財産権(著作権、商標、特許)の侵害がある」⇒「公告フォーム」をクリック
④Amazonの出品者用アカウントにログインする
以後、上記2つのパターンで解説します。
なお、テスト購入した商品については後日返品・返金が可能になりますのでご安心ください。
相乗り出品者の商品が偽物である(自社ロゴがない)
相乗り出品者が出品している商品に自社ロゴがない場合は、商標権侵害ではなく、「偽物である」として、以下のように排除の申請をします。
- 「侵害されたとする権利の種類」が商標権侵害ではなく「その他」となる
- 相乗り出品者の商品が自社ロゴのない偽物で、機能やデザイン面の違いもあれば説明する
この点に注意して以下のように申請を進めてください。
商標権/知的財産権の侵害である(自社ロゴがある)
もし、Amazonだけでなく他販路でも商品を出品している場合は、他販路で購入した商品で相乗り出品されている可能性があります。
その場合は、自社ロゴが付いているので、商標権侵害として次のように申請を進めてください。
【まとめ】Amazon相乗り出品を確実に排除するには商標権を獲得すること
以上、Amazonの相乗り出品を確実に排除する方法について解説しましたが、一番確実な方法は商標権を獲得することです。
商標については、ある程度商品が売れるまではあまり意味がないのですが、逆に売れてきた場合は商標権を獲得するとブランド保護の観点で役立ちます。
自社商品を扱っている方は、ぜひ参考にしてください。
なお、物販クラファン終了後の一般販売については、拙著「物販×クラウドファンディング 実践大全」の第9章で詳しくお伝えしています。
企業との卸取引や自社ECサイトの展開についても掲載していますので、良かったらぜひご覧ください。
また、物販クラファンについては、無料相談を随時受け付けています。興味のある方はお問合せフォームより気軽にご連絡ください。