本記事では、これから物販型クラウドファンディングの実施を考えている人に向けて資金調達の方法について解説しています。
実質的な予約販売である物販クラウドファンディングでは、外国メーカーと独占販売契約を結び、商品を仕入れて購入希望者に販売するという流れになります。
実際に支援して頂けた個数だけ仕入れればいいので、一般的な物販ビジネスと違い在庫を抱えるリスクはありませんが、プロジェクト終了からリターンまでの期間や、メーカーにデポジットとして払う金額割合によっては資金調達が必要になる場合があります。
基本的には
- デポジット30%
- 商品納入前70%
が一般的ですが、メーカーによっては前金一括100%入金を希望したりMOQ1000個でないと契約しないと要望を出してくるところもあります。
交渉で詰めてはいきますが、どうしても取り扱いたい商品のメーカーからこのような提示をされた場合、多少ハードルが高くても「よし、頑張ってやってみたい!」と判断するときもあります。
そんな時、資金調達の知識があると選択の幅が広がります。
物販クラウドファンディングで融資を受ける際の金融機関
物販クラウドファンディングに限らず、資金を調達する基本的な方法は、金融機関からの融資を受けることです。
融資とはお金を借りること。
投資や出資とは異なり、融資されたお金は当然「返さなくてはならないお金」になります。
銀行をはじめとしたお金を貸す金融機関は、基本的には事業者にお金を貸した際の金利で運営されています。
金利とは利子のこと。事業の運営状況やお金を完済するまでの期間などによって金利は変動します。
お金を借りた側は「借りた金額+金利」を金融機関に返済する必要があります。
金利は、残金にかけられるので借りている期間が長いほど金利のために返済する金額も大きくなります。
そのため金利がなるべく低くところから借り、なるべく早く返すことが資金調達の鉄則と言えるでしょう。
預金を取り扱う金融機関の金利
お金を借りるとなると、まず思い浮かぶのは銀行ではないでしょうか。
都市銀行や地方銀行、信用金庫や信用組合はそれぞれが融資のサービス(商品)を取り扱っています。
銀行や信用金庫によってサービスも金利もバラバラですが、おおむね金利は2~3%ほどです。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は日本政府が100%出資している金融機関で、最大の特徴は金利の低さです。
今回、資金調達先としておすすめしたいのも日本政策金融公庫です。
日本政策金融公庫では、
- 個人企業や小規模企業向けの小口資金(国民生活事業)
- 中小企業向けの長期融資(中小企業事業)
- 農林漁業や国産農林水産物を取り扱う加工流通分野の長期融資(農林水産事業)
の3つの融資制度を用意しています。
個人で、物販クラウドファンディングを行う方が対象となるのは、国民生活事業の「個人企業や小規模企業向けの小口資金」です。
この融資制度について深堀りしていきます。
日本政策金融公庫の国民生活事業
日本政策金融公庫が行う事業の1つ「国民生活事業」。
この中にもセーフティネットとしての融資や新規事業を始めるための融資などさまざまな融資制度があります。
今回はほとんどの業種が対象となる「一般貸付」について説明します。
一般貸付の融資限度額は4,800万円です。
国民生活事業は、個人企業や小規模企業向けの小口資金をご融資しており、融資額の平均は約700万円となっています。返済期間は5年間です。
金利は担保の有無などで大きく変動しますが、担保がある基本的な融資の場合の基準利率は1.11%~2.10%となっています。
基準利率とは最も基本的な利率のことで、条件などによってはこれよりも低い金利で融資を受けられます。
銀行の融資と比べて低金利であるという点は大きなメリットです。
明確な基準は公表されていませんが、金利が低い分、審査は銀行の融資よりも厳しいと言われています。
お金を融資する側からして怖いのは、貸したお金が返って来ないこと。これを貸し倒れといいます。
審査のゆるい消費者金融は、高い金利で貸し倒れリスクを回避しています。低い金利でお金を貸すのは、それだけリスクがあるものなのです。
そのため融資にあたっての審査基準が厳しいものになるのは当然ですよね。
ただ、物販クラウドファンディングの場合はいわゆる”予約販売”として既に支援されているわけなので審査に通りやすいです。
融資を受ける際の流れ
銀行であっても日本政策金融公庫であっても、融資を受けるまでの基本的な流れは同じです。
今回は日本政策金融公庫の場合に融資を相談する場合の詳しい流れを紹介します。
準備しておく書類
【個人営業の場合】
- 「最近2期分の申告決算書」
- 新たに事業を始める場合または始めたばかりの場合は「創業計画書」
- すでに営業している場合は「企業概要書」
【法人で営業している場合】
- 「最近2期分の確定申告書・決算書(勘定科目明細書を含む)」
- 「最近の試算表(決算後6ヵ月以上経過している場合または事業を始めたばかりで決算を終えていない方)」
- 「法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本」が必要です。
法人で創業したばかりの場合は企業概要書のかわりに「創業計画書」を提出します。
これらに加え、「借入申込書」が必要になります。借入申込書や創業計画書、企業概要書は日本政策金融公庫のHPでダウンロードできます。
融資までの流れ
- 面談
日本政策金融公庫の担当者との面談です。面談では資金の使い道や事業の状況(計画)などについて質問されます。面談後に担当者が実際に店舗や工場などを訪問することもあります。
- 融資
融資が決まると、借用証書などの契約に必要な書類を契約センター又は支店から送られてきます。契約手続きが完了したのちに、融資金が希望の金融機関の口座へ送金されます。
- 返済
返済は基本的に月払いです。
金融機関側が融資希望者に融資を行うかどうかを判断することを与信判断と言います。
事業の財務状況などで総合的に判断されるわけですが、簡単に言えば、お金を返せる見込みがないと思われてしまえば融資を受けられなくなります。
融資をする側が最も避けたいのは貸したお金が返ってこないこと。困っているからお金を借りたい、でも返すアテはないという方は融資が受けられません。
融資を受けたいと思うのなら、どのようにして返済をするかといったところまで突き詰めて考えておくべきでしょう。
国から受けられる助成金
融資は返済することが前提のお金ですが、一定の条件を満たすことで受けられる助成金というものがあります。
助成金はもらうもので、返す必要はありません。補助金とも同じものだと考えてよいでしょう。
物販クラウドファンディングを行う上で受けられそうな助成金をピックアップして紹介していきます。
それぞれの助成金・補助金の詳細について解説していきます。
小規模事業者持続化補助金一般型
これは、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取組や、あわせて行う業務効率化の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
最新のものは2021年2月5日(金)が受付締切となっています。
主な内容は以下の通りです。
- 販路拡大などに取り組む費用の3分の2が補助される。
- 補助上限額50万円
- かかった費用に対して補助されるものなので、一括でお金が支給されるわけではない。
- 持続化補助金とは異なり、販路開拓や生産性向上の取組に要する経費などに使い道が限定される。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者 といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度です。
これは有期労働者を正社員に登用したり、直接雇用などに転換したりすることで1人あたりいくらといった助成金を受けられるものです。
たとえば有期労働者を正社員に登用すれば最大で1人あたり最大57万円が支給されます。
また、雇用形態の転換だけでなく賃金規定を2%以上増額改定することでも助成金が得られます。この場合は対象となる労働者数で助成金の金額が変動します。
働くパパママ育休取得応援事業
これは東京都の助成金事業です。
男性の育休取得率を高め、女性の活躍推進を後押しすることを目的としています。
育児中の従業員の就業継続や男性従業員の育児休業取得を応援する企業に対して奨励金が支給されます。
「働くママコース」では、従業員に1年以上の育休を取得・復帰させた企業に奨励金を支給することで育児中の就業継続を確保し、「働くパパコース」では、男性従業員に連続した育休を取得させた企業に奨励金が支給される仕組みになっています。
主な内容は以下の通りです。
- 「働くママコース」では従業員に1年以上の育児休業を取得させ、育児中の雇用を継続する環境整備を行った企業に125万円を定額支給。これは男性従業員も対象となるが、「働くパパコース」との併用はできません。原職に復帰して3か月以上雇用が継続されていることが条件となります。
- 「働くパパコース」では従業員に15日以上の育児休業を取得後、原職に復帰し復帰後3か月以上継続雇用されている都内在勤の男性従業員が対象です。連続15日取得するごとに25万円が支給され、最大で300万円まで支給されます。
勤務間インターバル助成金
「勤務間インターバル」とは、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止を図るものです。
2019年4月から、制度の導入が努力義務化されました。
この助成金では、勤務間インターバルの導入に取り組む中小企業事業主に対して、対象経費の4分の3までの金額が支給されるものです。最大支給金額は100万円です。
この助成金は多数の申請があったため2020年度の新規受付は終了しています。
来年度以降の再開は未定ですが、定期的にチェックしておくとよいでしょう。
クラファン資金調達におすすめの書籍
実際に金融機関を訪問して融資の相談をするとなった際、書類など様式がある程度決まっているものは別としてどのようにすれば融資が受けやすいかといったマインドや行動について解説されている本は意外なほど少ないです。
多いのは融資をする銀行出身のコンサルタントや税理士といった視点での書籍です。
『無担保で16億円借りる 小山昇の“実践”銀行交渉術 』
小山昇氏は、銀行出身の方ではなく銀行に融資を受けてきた社長さんです。赤字だった企業を年商35億円にまでひきあげた凄腕の経営者です。
本のタイトルにもある通り、実際にどのように融資を獲得してきたかをレクチャーしてくれるものとなっています。
これから融資を受けようとする人にとってこれほどまでに実践的な本はないでしょう。借入だけでなく返済のノウハウも詰まった一冊です。
小山氏が社長を務める「株式会社武蔵野」はその優れた経営で、2000年に日本経営品質賞受賞、2001年に経済産業大臣賞受賞、2004年に経産省が推薦する「IT経営百選」の最優秀賞を受賞。2010年「ハイ・サービス日本300選」などさまざまな経営に関する賞を受賞しています。
資金調達と聞くと大仕事なイメージがあるかもしれませんが、条件を満たすことでスムーズに受給できる助成金も少なくありません。
各地方自治体で独自に行っている助成金や補助金も少なくないので、一度チェックしてみてください。
助成金よりも大きな金額が必要なら金融機関での融資を考えるといったステップでも問題はありません。
重要なのはお金を借りることではなく、事業を軌道に乗せることや利益を上げることです。実際にどれほどの金額が必要なのかを計算してみると、意外と助成金で十分まかなえることも多いですよ。
クラファンの資金調達についてのご相談も承っています。
いかがでしたか?
クラウドファンディングはいわゆる”予約販売”なので過剰な在庫を抱えることもない無在庫販売と同じです。
しかし、リターンを滞りなく行うためにはMakuakeやGREEN FUNDINGなどのプラットフォームからの入金を待つ前にメーカーにスピード感を持って発注する必要があります。(商品の納期によって違います。すぐに納品できるものであれば入金後の発注でいいので資金調達の必要はありません。)
基本的にデポジットとして30%前入金するパターンが多いので、その際に場合によっては資金調達が必要になってきます。
想定を大きく上回る支援が集まった場合は嬉しい反面、資金調達に気を付けましょう。
OMP(オンラインマイクロ商社プロジェクト)では資金調達についてのアドバイスも行っています。
特にはじめてのクラウドファンディングの場合は右も左もわからない状態だと思うので、経験者からの助言を受けることはとても心強いですよ!
グループチャットではいくつものプロジェクトを経験した先輩方の意見もバンバン聞けるので、濃いリアルな情報を聞けます。
Amazonで垢バンリスクにおびえながらひとり黙々と孤独に作業しており、精神的につらいとOMPに入ってこられる方も少なくありません。
仲間たちと進捗状況を報告しあいながら、またお互いのプロジェクトにいいね!しあいながら一緒に盛り上げていくOMPの絆に最初驚かれる方もいらっしゃいます。
「同じ時期に入ってきたあの人がもうプロジェクト始めている!自分も契約とって早く起案したい!」と仲間の実績が奮闘するための起爆剤になるので頑張れる方もいらっしゃいます。
仲間と一緒に頑張れる環境は貴重ですよね!僕たちと一緒にクラファンやりませんか?
クラファンを始めたいけどどうしたらいいのかわからない、という方向けのご相談も承っておりますので、ご興味のある方はお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。