多くのフリーランスが苦手とする値上げ交渉10個のコツを徹底解説

「値上げをしたいけど、契約が切られないかな」

フリーランスとして働いている方にとって、仕事の案件獲得だけでなく値上げ交渉も大きな関心事の1つです。

自分としてはもっと単価を上げたいけど、値上げ交渉したら契約を切られるかもしれない等、なかなか言い出せない方も多いのではないでしょうか?

実際に、実力あるフリーランスでも、単価交渉を苦手とする人は少なくありません。

しかし、昨今の物価上昇やインボイス制度の導入などもあり、値上げ交渉の必要性はますます高くなっています。

そこで、今回はフリーランスの値上げ交渉のコツをお伝えします。

成田光
経験と実績を積んだら値上げ交渉することも重要です。

 

【この記事を読むことで得られるメリット】

  • 値上げ交渉のコツがわかる
  • 高単価でも仕事を受注できるコツがわかる

取引中のクライアントに対して値上げ交渉する5つのコツ

まずは、取引中のクライアントに対して値上げ交渉するコツについて解説します。

もちろん、新規顧客への値上げを優先して、良い関係を維持しているクライアントに対しては現状維持にするという方法もあります。

仕事内容を把握していて、関係ができているクライアントほど、効率的に仕事を進めることができるためです。

しかし、これはある程度、自分が納得できる単価になっていることが前提です。

低単価のまま仕事を続けると、ご自身が耐えられなくなる可能性もあるので、以下のような値上げ交渉は試してみましょう。

案件やプロジェクトが変わったタイミングで値上げ交渉する

職種にもよりますが、1社に対して同じ仕事を何年も受注し続けるということは少なく、同じクライアントでも仕事内容が変化します。

案件やプロジェクト内容が変わった時期や、契約更新時など、区切りのいいタイミングは比較的値上げ交渉がしやすいです。

仕事内容や作業時間など条件を確認したうえで、相場より安い場合は、これまでの実績を示しながら値上げ交渉しましょう。

「他のクライアントに対しても同じ金額で提供しているので・・・・・・」と交渉する

似たような案件を受注しているクライアントより単価が安い場合は、積極的に値上げ交渉しましょう。

「A社に対しても、この価格でやらせていただいているので、今後は○○万円で提供させていただきたい」

と正直に話しましょう。

例えば、他社に対しては50万円で受注しているのに、B社だけ30万円で受注では、他社に示しが付かなくなります。

それでも値上げに渋るクライアントであれば、関係性にもよりますが今後の取引を見直した方がいいかもしれません。

明らかに仕事量が増えた

クライアントとの継続案件で、「あれ、なんかどんどん仕事量が増えている」と感じたことはないでしょうか?

実際に継続案件をこなしてクライアントの信頼を得ていくと、「この仕事もお願いします」といつの間にか仕事量が増えることがあります。

仕事を任せられるのはいいのですが、明らかに工数が増えて、労力や時間がかかるようなら割に合わなくなるので、都度単価交渉を行うようにしましょう。

「この作業もプラスする場合は○○円かかります」

とはっきり伝えるようにしてください。

ただ、できればトラブル回避のために、最初の契約時のときに契約書を交わしたり認識合わせしたりすることが理想です。

値上げしたい理由を明確に説明する

今の仕事内容のままで値上げ交渉する際は、明確な理由を用意しておくようにしましょう。

そうでなければ、クライアントから「なんで今の価格ではだめなの?」となかなか納得してもらえないでしょう。

  • 相場は○○○円である
  • これまで工数が○○だったけど、今後は工数が△△になる
  • 物価の上昇で○○円の費用がかかる

と、明確な数値的な根拠を示すほど、クライアントの納得感は高いものになるでしょう。

新しいサービスメニューを用意する

今の仕事内容で値上げすることが難しそうなら、別のサービスメニューを用意しておくことも検討しましょう。

「現在はAプランで20万円ですが、Bプランでも提供できます。少し値上げしますが、充実したサポートができるのでおすすめです」

単価と同時に仕事内容が増えることが多いですが、クライアントに複数の選択肢を与えておくのも1つの手です。

高単価でも新規で仕事獲得できる5つのコツ

次に、高単価でも新規のクライアントから仕事の依頼が来るコツをお伝えします。

つい新規のクライアントには値下げしてしまうという方もいますが、最初から値下げすると、今後も同じ価格で仕事が発注される可能性があります。

起業したばかりであれば、実績作りで安価な仕事を請けることも必要ですが、実績がある場合は、思い切った価格を提示してみましょう。

希望単価より少し高い単価で交渉してみる

単価交渉する際は、思い切って希望単価より少し高い金額で交渉するのもありです。

特に継続案件よりは新規案件の方が、少し高い金額で交渉しやすいところがあります。

もちろん、あまりに相場とかけ離れた金額を提示するのは難しいですが、「できればこのくらいは欲しい」という価格があれば、提示してみるといいでしょう。

アンカリング効果という、消費者が最初に与えられた価格を基準に考えるという心理的な法則があります。

例えば、買い物しているときに、10万円の靴を見たあとに5万円の靴を見ると安いと感じてしまったことはないでしょうか?

つまり、最初に高い金額を提示することで、クライアントの購入ハードルを下げることができるのです。

具体的には希望価格が18万円の場合は、さらに高単価な20~25万円程度のサービスメニューも考えておきます。

「25万円が無理であれば、この分を差し引いて18万円ならどうでしょうか?」

そうすることで、納得して購入してもらえる可能性が高くなります。

松竹梅理論を活用して3つくらいのサービスメニューを用意する

先ほどの「新しいサービスメニューを用意する」にも通じる部分ですが、1つではなく、複数のサービスメニューを用意しておくことがおすすめです。

複数サービスメニューを用意する際は、松竹梅理論を意識するといいでしょう。

松竹梅理論は、3つのサービスメニューがある場合、多くの消費者は真ん中のメニューを選ぶという法則です。

例えば、寿司屋やレストランなどで、

  • 松コース:15,000円
  • 竹コース:10,000円
  • 梅コース:5,000円

といったメニューを見たことがある方も多いでしょう。

この場合、「松コースよりは安いが梅コースよりはメニューが充実している」という理由で、竹コースを選ぶ人が多くなります。

一般的に半数以上が竹コースを選ぶと言われています。

そのため、真ん中の竹コースを希望単価のサービスに設定しておくといいでしょう。

複数の選択肢があることで、クライアントも選びやすくなり、単価交渉がスムーズになるでしょう。

多すぎるサービスメニューは逆効果になるので注意する

松竹梅理論を意識して、3つくらいのサービスメニューを用意するのはいいですが、あまり多すぎて複雑にすることは避けましょう。

例えば、7つも9つもサービスメニューを用意したり、オプションの設定が複雑だったりしている場合です。

選択肢が多すぎると、「選択肢が増えるほど人は選べなくなる」という選択回避の法則が働き、クライアントの購入意欲を削いでしまいます。

職業によっては、様々なサービスメニューが考えられることもありますが、それでもある程度は整理してクライアントに提示することがおすすめです。

3パターンくらいのサービスメニューを用意しておき、詳細はクライアントの要望に合わせて調整するくらいがいいでしょう。

クライアントや知人から紹介してもらう

まったく知らない人よりは、誰かに紹介してもらった方が高単価でもスムーズに仕事を獲得しやすいです。

これも職種によりますが、クライアント側に立った場合、まったく見ず知らずの人に高単価で仕事を依頼するというのは勇気がいるものです。

一方で信頼している人からの紹介で「あの人なら大丈夫だよ」と言われていれば、安心感に繋がります。

「これくらいの仕事をしてくれるなら、相応の価格かな」と高単価でも納得してくれる可能性が高いです。

ただ、クライアントや知人に紹介してもらうには、相応の実績を出していく必要があります。

まずは依頼された仕事で地道に成果を見せていくことが、紹介で高単価案件を獲得するコツなので焦らずじっくり取り組みましょう。

「次回以降は値上げします」とするなら最初だけ低単価で受注するのはあり

まだ、起業して間もなく、継続案件がまだそこまで多くない場合は、新規のクライアントに対して単価交渉することは抵抗があるかもしれません。

その場合は、「今回は実績作りのために○%OFFで提供しますが、次回以降は定価で提供します」と最初に示すようにしましょう。

そうすることで、安価な条件のまま仕事を継続してしまうことがなくなります。

スキルと実績を積んでいけば、クライアントに価値提供できる可能性は高いので、スムーズに値上げすることは可能でしょう。

【補足】クライアントから「値下げ交渉」されたらどうする?

自分は今の価格で問題ないと思って仕事を請けていても、ある日クライアントから値下げ交渉されるケースもあります。

この場合は、安易に値下げに応じたり、逆に門前払いしたりすることは避けましょう。

値下げの依頼があった場合は、具体的に仕事の工数を減らしたり、納期に余裕を持たせたりするなど条件の交渉をしましょう。

場合によっては価格自体が下がっても時給単価が上がり、お互いwin-winになることもあります。

もし、win-winとなり得ない理不尽な値下げ交渉であれば、今後の契約を見直すようにしましょう。

【まとめ】値上げ交渉のコツを覚えておく

フリーランスになると仕事獲得も重要ですが、あまり安すぎる単価では長続きしません。

場合によっては各サービスを値上げして、その分充実したサービスを提供した方がクライアントにとっても幸せなことが多いです。

値上げ交渉する際は、自分の主張だけでなくクライアントの意向も聞きながら仕事内容を含めて調整していくようにしましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。