海外転売や、海外メーカー仕入れのような輸入ビジネスには、国内で完結する物販と違って注意しないといけない法律があります。
【輸入ビジネスで抵触しやすい法律】
- 電気用品安全法(PSE法)
- 電波法(技適)
- 食品衛生法
- 薬機法(旧薬事法)
海外メーカーから商品を仕入れてクラファンを活用して物販をしている私も、このような法律には注意しています。
真っ当な物販ビジネスをやるためにも、違法とならないように、法律をしっかりと守って物販をしていきましょう。
本記事では、輸入ビジネスで抵触しやすい法律について解説していくほか、法律に気を付けなければいけない海外商品についてもお伝えします。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- 輸入ビジネスで注意しないといけない法律の概要がわかる
- 法律に抵触しやすい海外商品の例がわかる
- 法律規制を回避するための商品の選び方がわかる
■電気用品安全法(PSE法)
電気用品安全法とは、上の電気用品についているPSEマークでお馴染みの、電気用品を扱う事業者に危険な販売をさせないための法律です。電安法、PSE法とも言われます。
簡単に言うと、PSEマークが貼られていない電気用品を売ると違法になるという法律です。
日本の法律を守った国内の家電製品であれば、違法となることはほとんどありません。
しかし、PSE法は国際基準ではなく、PSEマークのない海外製品の場合は、販売したければ日本で認可を得ないといけません。
個人輸入でPSEの認可を得ることは、手続きとコストの点で難しいところはあります。
とはいえ、違反すると個人では1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、法人では1億円以下の罰金が課せられますので、法律を遵守して家電製品を輸入するようにしましょう。
電気用品安全法の対象になる商品とは?
電気用品安全法の対象となる商品については、法律の条文の第2条に定められています。
【電気用品安全法第2条】
1 この法律において「電気用品」とは、次に掲げる物をいう。
一 一般用電気工作物(電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第三十八条第一項に規定する一般用電気工作物をいう。)の部分となり、又はこれに接続して用いられる機械、器具又は材料であって、政令で定めるもの
二 携帯発電機であって、政令で定めるもの
三 蓄電池であって、政令で定めるもの
2 この法律において「特定電気用品」とは、構造又は使用方法その他の使用状況からみて特に危険又は障害の発生するおそれが多い電気用品であって、政令で定めるものをいう。
電気安全用品法の対象となる家電製品については、経済産業省のHPなどで詳しく掲載されています。
ただ、簡単に言うと、次の商品は、すべて電気用品安全法の対象であり、PSEマークが必要だと思ってもらえれば間違いありません。
- コンセントがついた家電製品
- モバイルバッテリー使用の家電製品
モバイルバッテリーについては、昔は電気用品安全法の対象ではありませんでしたが、2019年の法改正によって、現在は対象になっています。
電気安全用品安全法の対象とならない商品とは?
一方で、次の商品は、電気安全用品安全法の対象とならない商品があり、このような製品は輸入することができます。
- USB給電の家電製品
- コンセントがなく、乾電池を使用する電化製品
- コンセントを使用しないPC、スマホ周辺機器(ヘッドフォン、イヤフォンなど)
- スマホやタブレット(ただし電波法は注意)
これらの商品はコンセントやモバイルバッテリーの必要がないので、電気安全用品法の対象外となります。
最近は、USB給電の家電製品も多いので、輸入する際は、そのような商品を仕入れるようにしましょう。
電波法(技適)
電波の公平で能率的な利用を確保して、電波障害などの防止を防ぐことを目的としたのが電波法です。
具体的には、日本の電波基準に適合した技適マークが必要で、技適マークがなければ違法になります。
なお、日本で売るには、日本の技適が必要で、アメリカの技適(FCC)や、ヨーロッパの技適(CE)があるからといって、日本で販売できるわけではないので注意しましょう。
電波法の対象となる商品とは?
例えば、次のような無線を使う機器は、すべて電波法の対象となります。
- 海外製SIMフリーのスマホ
- 海外製のトランシーバー
- 海外製のラジコン、ドローン
- 海外製のワイヤレスヘッドホン
海外製のスマホについては、日本のSIMカードを入れたところで、技適マークがなければ違法になってしまいます。
無線機器という点では、ラジコンやドローンも電波法の規制対象になります。
このラジコンについても、技適を取得してからクラファンを通じて販売しています。
電波法の対象とならない商品とは?
電波が所定レベル以下の「微弱無線設備」については、技適マークは不要になります(電波法第4条1項)。
※総務省:電波利用ホームページ「微弱無線局の規定」より抜粋
ただ、曖昧に微弱であれば良いわけではなく、上のような、総務省が示している「微弱無線設備」の基準に適合している必要があります。
食品衛生法
食品衛生法は、食中毒のニュースなどでよく聞くように、食品に関する衛生上の危険を防止するための法律です。
輸入ビジネスでは、食品関係を輸入して販売することはほとんどないかと思いますが、対象となるのは食品だけでないので注意してください。
食品衛生法の対象となる場合は、所定の手続きを経て輸入許可を得てから販売する必要があります。
食品以外で食品衛生法の対象となる商品とは?
食品以外で食品衛生法の対象となるものは、次の通りです。
- 器具(食品衛生法第16条)
- 容器包装(食品衛生法第16条)
- 6歳児未満の乳幼児を対象としたおもちゃ(食品衛生法第62条)
つまり、「食品に接触するもの」「口に入れる可能性のあるもの」は食品衛生法の対象となります。
例えば、器具であれば、次のようなものが対象となります。
飲食器 | カップ、皿、タンブラー、はし、スプーン、ナイフ、フォーク、ほ乳用具、ストローなど |
割ぼう具(調理用具) | 包丁、まな板、なべ、フライパン、ボウル、おたまなど |
食品に直接接触する機械、器具等 | コーヒーメーカー、ジューサー、ミキサー、スライサー、パスタマシン、タンク、ボトル、コンテナ、冷蔵庫、水筒、調味料入れ、食品トレー、かご |
※ミプロ「食品用器具輸入の手引き2021」を参考に作成
乳幼児を対象としたおもちゃについては、乳幼児が口の中に入れる可能性があるので、規制の対象となっています。
食品衛生法については突破しやすいものも多いので、上記に該当するような製品の場合は、ミプロやジェトロなどに問い合わせてみてください。
食品衛生法の対象とならない商品とは?
直接食品に触れない器具、容器包装であれば、食品衛生法の対象外となります。
例えば、食器を収納するケース、食器棚、ナイフや包丁のさやなどは食品衛生法の対象とはなりません。
薬機法(旧薬事法)
薬機法は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が正式名称の、健康食品や化粧品、医薬品、医薬部外品、医療機器などを規制対象とした法律です。
具体的には、化粧品、歯磨き粉、シャンプー・リンス、石けんなどが規制対象です。
医療機器であれば、輸入ビジネスではあまりないとは思いますが、体温計や血圧計、コンタクトレンズなどが該当します。
サプリメントやプロテインといった健康食品については、基本的には医薬品ではないので食品衛生法の範疇になります。
ただ、海外の健康食品は、日本の基準で医薬品として使用される成分が入っていたり、医薬品のような効果効能を表示したりすることも多いです。
その場合は、「未承認無許可医薬品」という、非常に厳しい規制対象となります。
これらの商品については、個人使用のために輸入できる品目もあるのですが、販売することは違法なのでできません。共同購入も違法です。
※改正薬機法に伴い、個人輸入でも輸入確認証が必要になりました。
amazonなどで海外のサプリメントやプロテインが販売されていることもありますが、これは海外から直送して個人で買える状態を作り出しているためです。
薬機法のハードルを超えてこのような状態を作ることはかなり難しいので、薬機法の対象となる商品は、上級者でない限りは避けた方が無難です。
【まとめ】判断に迷ったら専門機関へ相談を
以上、輸入ビジネスで注意すべき法律と、法律の規制対象となる商品とならない商品についてもお伝えしました。
ただ、扱う商品については、判断に迷うこともあるかと思うので、ジェトロやミプロのような専門機関に相談するようにしてください。
法律は正しく守って、誠実な物販ビジネスをするようにしましょう。
なお、今回は輸入に関わる法律の話でしたが、クラファンを立ち上げる際にも気を付けないといけない法律があります。詳細は、この記事をご覧ください。
海外から魅力ある商品を仕入れて、クラウドファンディングを活用して物販をする成田式・購入型クラファンに興味がある方はいませんか?
ご興味のある方へ無料相談は随時受け付けていますので、随時お問合せフォームより気軽にご連絡ください。