せどり、メーカー仕入れ、クラウドファンディング……。
物販ビジネスを加速するために、手元にある資金は最大の武器となります。
とりあえず今は融資に興味がないという方でも、物販ビジネスを続けている限り、「融資を受けたい」と考える時期がいつか訪れます。
実質的な予約販売であるクラウドファンディングを中心に行っている方でも、クラファン終了後の一般販売で大規模な取引が成立することもあります。
また、たまに着手金を求めるメーカーもありますが、どうしても取引したいメーカーであれば融資を受けていれば取引が可能になる場合があります。
融資を受けるメリットは、何と言っても2~3%の低い金利で、資金繰りが大幅に改善できることです。
魅力的な商品に巡り合えたときに、資金力のなさから泣く泣く諦めることがないように、融資については知っておきましょう。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- せどりやメーカー仕入れ、クラファン(終了後の一般販売含む)の融資のポイントがわかる
- 融資を好条件で受けられるタイミングがわかる
- 融資の種類や、おすすめの金融機関が理解できる
- 融資の審査が通るポイントが詳しく理解できる
物販事業者が好条件で融資を受けられるタイミングとは?
融資については、基本的には「そろそろ融資を受けたい」と思うタイミングで申請することでいいのですが、特に以下の3つの場合は審査が通りやすく、絶好のタイミングと言えます。
【POINT!】
- 創業時(会社設立時)や新たな事業を始めるときに融資を受ける
- 敢えて短期間の融資を受けて実績を作る
- 人を雇用するタイミングで融資を受ける
創業時(会社設立時)
まず、融資を受けるタイミングでおすすめしたいのは創業時(会社設立時)です。
創業してから資金が足りない状態で融資を申し込んでも、「経営状態が厳しい」と見られることが多いので、なかなか審査が通りません。
実際に会社設立後に融資を受ける際は、決算書や税務申告書の提出が求められるのでごまかしようがありません。
創業時であれば決算書を出すことができないので、決算書の代わりに事業計画書を提出します。
事業計画書は詳細に書くというよりは、わかりやすくまとめて、自分でしっかりと事業内容を説明できるようにしておきましょう。
特に創業時の審査では、ビジネスに対するミッション・ビジョンをしっかりと伝えられるようにしてください。
基本的には半年分程度の運転資金を申請(物販なら仕入れ代金、外注費、備品、事務所の賃貸料等)するようにしておきましょう。
物販をやっている人であれば、だいたい月商と同程度~2倍、もしくは資本金の2倍程度が目安です。
借入金の返済が完了したとき
創業時から融資を受けておくことのメリットの1つは、金融機関は融資の実績も審査対象としているので、その後の融資でも有利になる点です。
実際に、借入金の返済が完了したタイミングでは、金融機関の方から融資の継続を打診してくることが多いです。
1回でも融資の実績を作れば信用が高まるので、融資の利息で事業が成り立っている金融機関としては、信頼している人にはお金を貸したいのです。
つまり、融資を受けやすくするためには、融資の実績を作ることも重要です。
例えばクラウドファンディングであれば支援金の範囲内で、敢えて短期的な融資を申請する方法がありますが、これも融資の実績を作るためです。
短期的な融資を受けた後に、長期的な運転資金で引き続き融資を申請すれば、非常にスムーズです。
雇用を検討する時期
事業規模が大きくなり、人を雇用しようというときも融資の絶好のタイミングです。
物販をやっている方は、基本的には外注さんに作業を依頼することが多いかと思いますが、もし人を雇用する場合は融資も念頭に置いてください。
「地域の活性化のために人を雇用したい」というのは、公庫や信金に特に有効な方法です。
ただし、人を雇用する際は雇用の助成金申請も併せて検討するようにしてください。
補助金や助成金については、別途別記事で詳しくお伝えします。
保証協会付き融資とプロパー融資の違い
金融機関からの融資のタイプには、大きく分けて保証協会付き融資とプロパー融資に分けられます。
保証協会付き融資とは、万が一、借主の返済ができないような場合に、代わりに保証協会が立て替えてくる融資です。
※保証協会とは、金融機関から融資を受ける際に保証人となってくれる公的機関です。
返済の滞った借入金については、保証協会は立て替えるだけなので、借主の返済がなくなるわけではありません。
しかし、借入期間の延長や、月々の支払額の引き下げなどの相談はできます。
金融機関の金利に上乗せで、約1.5%程度の金利がかかります。
対して、保証協会の保証がなく、金融機関が貸し倒れのリスクを負った状態で借主に融資するのがプロパー融資です。
プロパー融資の方が上乗せされる金利がないので、トータルの利子は安くなりますし、融資限度額もありません。
ただし、プロパー融資の方が当然審査は厳しくなり、実績が求められます。
その分、プロパー融資を受けられるということは、事業の信用度が高いということです。これは金融機関だけでなく、企業間の取引でも有利な材料となります。
物販でメーカーとの取引で有利に働いたり、大規模な卸事業に展開しやすかったりすることもあり得ます。
もちろん、他の金融機関で融資を受ける際にも有利です。
そのため、地銀や信金から融資を受ける場合は、敢えてプロパー融資を狙って信頼度を高めていくのもいいでしょう。
借金は信用が下がるものと思っている方もいるかもしれませんが、計画通りに返済していけば、逆に信頼が積みあがるのです。
融資を受けられる金融機関
融資を受けられる金融機関は、大まかに次の通りです。
- 都市銀行
- 地方銀行
- 信用金庫、信用組合
- 日本政策金融公庫
このうち、審査を受けやすい順番で言うと、日本政策金融公庫>信用金庫、信用組合>地方銀行>都市銀行となります。
都市銀行
銀行内の融資の手続きを考えた場合、500~1000万円くらいの融資では割に合わないと判断され、中小零細企業は非常に厳しいです。
特に創業時の融資ではほぼ不可能に近いので、多くの方は選択肢から外れるかと考えられます。
具体的には、2期連続で年商10億円を超えた事業規模が目安となります。最低融資額も1億円以上くらいが目安です。
地方銀行
地方銀行は、都市銀行よりは融資のハードルが低く、だいたい1,000万円くらいの融資が目安となります。
それでもハードルが高いと感じると思いますが、最近は保証協会付き融資であれば500万円くらいの融資でも積極的に融資を提案してくれる地銀も多い印象です。
少なくとも、最近は融資に対して積極的な地銀が増えている傾向にあると感じています(ただし、銀行によって様々です)。
ただ、融資の実績があり、事業実績も積んでいれば地銀でプロパー融資してもらえる可能性も高くなります。
先ほどお伝えしたように、信用度を高めるためにプロパー融資で銀行と交渉するのもひとつの手でしょう。
信用金庫、信用組合
信用金庫、信用組合は地域の発展に寄与するという目的があるため、比較的融資を受けやすい金融機関です。
300万円程度の融資でも快く対応してくれる担当者が多いです。
基本的には保証協会付き融資となりますが、融資の実績があれば、一部の融資額だけでもプロパー融資を申請してみてもいいでしょう。
日本政策金融公庫(初めての融資ではおすすめ)
もっとも融資のハードルが低く、創業時の初めての融資でも受けやすいのが日本政策金融公庫です。
また、創業時、もしくは創業間もない方が融資を受けられる新創業融資制度であれば、無担保無保証人で融資を受けることができます。
金融機関というよりは、国の政策機関という表現が適しており、国の政策目標に対して用意したプランに当てはまっていることが必要です。
創業時であれば事業計画書の内容も重要ですが、後述するように、借主が国の政策目標で支援するに値する人物なのかどうかを評価されます。
新創業融資制度は、融資限度額が3,000万円(そのうち運転資金が1,500万円)と、一般貸付よりは限度額が低いですが、物販で初めての融資であれば十分でしょう。
また、新創業融資制度であれば、申請から融資実行までのスピードが比較的早く、1ヶ月半程度で融資が実行されます。
新創業融資制度の金利は、基準利率の場合は約2.36~2.85%/年(2021年12月現在)となっています。
これは日本政策金融公庫の一般貸付よりは若干高いですが、物販の利益率は最低でも10%、多ければ30~40%程度になることを考えればそこまで大きな負担ではないでしょう。
融資を得られるための重要ポイント
以上、融資を受けられる金融機関についてお伝えしましたが、どの金融機関から融資を受けるにしても、審査に通るポイントがあります。
そこで、金融機関の与信判断に欠かせないポイントについてお伝えします。
融資に通らなくなるNG事項
- 信用情報がブラックである
- 税金の未納・滞納がある(特に日本政策金融公庫ではNG)
- 公共料金の未納・滞納がある
- サラ金から多額の借入がある
- 自己資金が不透明(特に創業融資の場合)
- 役員報酬がゼロ(法人の場合)
まず、このようなことがあると間違いなく信用が低いと判断されてしまうので、融資の審査に通過することができません。
つまり、事業に関すること融資以外で借金がなく、経営に透明性があることが求められているということです。
借主の人物評価
融資を受ける経営者の人物評価も、融資を受けるうえでは重要なポイントとなります。
経歴・職歴・資格、これまでの実績なども評価の要因にはなりますが、何よりも自分の事業についての熱意やビジョン・ミッションを伝えられるようにしましょう。
ただ、ただ熱意を持って話すだけでなく、数値的な目標など冷静に伝えるようにしてください。
具体的には、次のようなもので、特に日本政策金融公庫の新創業融資制度では重要視されます。
- 創業時の融資であれば、創業の動機は明確か?
- ビジネスに対する覚悟はあるのか?
- 事業計画の実現可能性は十分あるか?(商品、仕入先、販売先、利益目標は明確か?)
申込金額・資金使途の妥当性
申込金額、資金使途の妥当性を伝えることは、融資を受けるうえで特に重要になってきます。
具体的には、必要な運転資金の根拠や、どのくらいの期間で、どのくらいの売上・利益が見込めるかを理詰めで明確に示すようにしてください。
そのうえで、熱意を持って自分の事業に対する想いを話せれば十分融資が通る可能性は高いでしょう。
【まとめ】物販をするなら低金利の融資は大きな味方となる
以上、物販をしている人が知っておきたい融資の知識についてお伝えしました。
「融資はちょっと……」と思っていても、物販を続けていれば、いずれ融資を受けたいと考えるときは必ずやってきます。
「物販は融資が厳しい」と思うかもしれませんが、これは物販のなかでも高額転売など社会的に信用が低いビジネスの場合です。
むしろ物販は売上・利益の計画などを示しやすいので、社会的信用の大きいメーカー仕入れやOEM販売、クラウドファンディングなどは融資を受けやすいです。
「もっと資金があれば……」とは物販をやっていれば誰でも感じることなので、早めに融資については動いてみるといいでしょう。
なお、物販クラファンについては、無料相談を随時受け付けています。
クラウドファンディングは必要資金がゼロでできるので、最初は融資がなくても大丈夫ですが、クラファン後の展開などを考えると、融資を考える時期が来ると思います。
興味のある方はお問合せフォームより気軽にご連絡ください。