物販クラファンで、海外メーカーと交渉が進んで独占販売契約書を交わす前に確認すべき内容についてお伝えします。
特に海外メーカーとの交渉は、事前に疑問点はすべて確認し、お互いに納得できるまでしっかりと話し合うようにしてください。
日本人同士の商談のような「なんとなく口約束で伝える」は通じません。
独占販売契約書を交わす段階で交渉が白紙になることがありますし、クラファンプロジェクトで思わぬトラブルに発展するリスクもあります。
今回は、海外メーカー商品でクラウドファンディングを実施する際にリスクを最小限にするための最後の確認事項をお伝えします。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- 海外メーカーでどのように交渉していけばいいかわかる
- 思わぬトラブルになるリスクを抑えることができる
- 安心してクラファンプロジェクトの準備に進むことができる
独占契約期間
海外メーカー商品でクラウドファンディングのプロジェクトを申請する際は、必ずと言っていいほど独占販売契約書を求められます。
通常の独占契約は1年更新ですが、最低でもクラファン期間中に限定した独占契約の獲得を狙う方がいいでしょう。
目安は6ヶ月と考えてください。
プロジェクトの結果や、その後の一般販売の結果次第では、契約を更新して長期的な付き合いに繋がることもあります。
最低ロット(MOQ)
クラウドファンディング終了後に仕入れる最低ロット(MOQ)については、金銭的なリスクが最小限になるまで交渉しましょう。
メーカーが最初に提示するMOQは大きい
具体的にはMOQをゼロ、もしくは極限まで下げた契約を結ぶことを目指します。
最初に提示するメーカーの卸値やMOQはだいたい大きいことがほとんどです。
あまりの提示仕入数に驚くこともありますが、参考値として捉えて、「MOQが多すぎる」とはっきりと伝えましょう。
場合によってはMOQが1/10程度まで下がる場合もあります。
ロットを減らした分、海外送料は少し高くなる可能性はありますが、MOQは減らした方がリスクはないので正直に交渉してください。
理想は支援数=最低ロット(MOQ)
一番の理想は、「クラウドファンディングで集まった支援額を最低MOQにしよう」と交渉することです。
そうすればAll or nothingにしなくても、こちらの在庫リスクは完全になくなります。
MOQが大きかった場合は、達成金額を最低ロット相当額にしてAll or nothingにする手もありますが、支援者の購入意欲が削がれるなど盛り上げに欠けるデメリットがあります。
そのため、例えばメーカーとMOQについて交渉する際は、次のように交渉してみてください。
焦って過度のリスクを取らないこと
ただ、メーカーの立場としては、商品を買ってほしいですし、買わないなら独占販売権は与えたくないと考えています。
両者の主張の違いをどこまで交渉できるかが鍵となりますが、資金力に余裕があり、許容できる範囲であればOKです。
ただし、「せっかくここまで交渉してきたのだから」と焦って過度のリスクは取らないようにしましょう。
場合によっては、今回のプロジェクトに関しては断る勇気も必要です。
粘り強くメーカーリサーチや交渉に取り組めば、必ず条件に合ったメーカーは見つかります。
支払方法
ケースバイケースですが、生産前に30~50%程度の前払いで、リターン配送時に残金を支払うことが多いです。
メーカーが全額前払いを求めてくることもありますが、資金力に余裕がない場合は必ず交渉するようにしてください。
支払方法は、基本的にはWISEや楽天銀行などを使って銀行海外送金をしますが、サンプルや少額仕入れの場合はpaypal支払いでもOKな場合があります。
不良品対応
物販を行ううえで不良品は、もっとも懸念されるリスクの1つです。
海外メーカー仕入れ全般に関して言えることですが、不良品のリスクについてはしっかりと確認しておくようにしましょう。
- 不良品率が何%まで保証するのか?
- 不良品があればメーカーに返送するのか?
- 不良品返送の際の送料負担はどちらが持つのか?
一定の期間・基準の範囲内で、破損・故障した製品を代替品と交換する返品保証制度をRMAと言います。
RMAについては、上記のようにあらゆる不測の事態を想定して独占販売契約書に盛り込むようにしてください。
納期の確認
プロジェクト終了後のリターン配送時の遅延リスクを極力防ぐために、次のことは必ず確認しておきましょう。
- 現在商品の在庫はあるのか?
- 在庫があるとすればどれくらいか?
- 在庫がないなら生産開始してからどの程度で納品できるか?
- 上記を踏まえてプロジェクト終了後のリターン配送時期はいつ頃がいいか?
- 生産が遅れた場合や、発送遅延が起きた場合はどうするのか?
不良品や遅延リスクについては、プロジェクト開始前から想定しておくと、リターン配送時に万が一トラブルが起きても冷静に対応することができます。
配送方法
メーカーや工場の場所、商品サイズによって、航空便か船便かを選ぶことになります。
船便の場合、荷渡し条件として、次の4つの方法があります。
- EXW (Ex works):工場渡し
- FOB(Free on Board):本船渡し
- CFR(Cost and Freight):運賃込み
- CIF(Cost, Insurance and Freight):運賃と保険料込み
※詳細は以下の記事をご覧ください。
このなかで、主流はFOBです。
配送の手配や責任範囲の広いEXWでの契約はできるだけ避けましょう。
なお、FCA(キャリア渡し)というFOBに似たインコタームズもありますが、私達からするとFOBの方が有利です。
また、新しいインコタームズなのでFCAを知らないメーカーや商習慣としてFCA=FOBとなっている場合も多いです。
航空便の場合は、国際宅配便(FedEx、DHL等)ですので、特にインコタームズを意識する必要は無いです。
輸入規制クリアのための検査費用負担
PSEや技適、食品衛生法といった法規制をクリアする必要のある商品も存在します。
その場合は、各種検査をしたうえで届出・認証手続きが必要となります。
よくある質問としては、この検査費用をどちらが負担するかということです。
基本的には、国外の展開を考えている海外メーカーは、検査費用負担に乗り気です。
日本の検査や手続きについては、日本人である私達が手伝う必要がありますが、費用はメーカー負担に落ち着くのが理想です。
また、輸入規制に関わらずクラウドファンディングサイト側から、「このエビデンスが欲しい」「これも日本で検査してほしい」と言われることがあります。
その場合も、同様に交渉するようにしましょう。
なお、プロジェクトが開始されるまでに、仕入れる商品が届出や認証の手続きが必要がないか、念入りに確認するようにしましょう。
サンプル品の提供
クラウドファンディングのプロジェクト申請時は、独占販売契約書に加え、各種エビデンスやサンプル品を求められることがあります。
また、この時点でサンプルの現物確認を行うことで、違う仕様の商品が配送されるリスクを極力抑えることができます。
基本的にはサンプル品は無償でていきょうしてくれますが、有償の場合もあります。
準拠法や法廷地法
準拠法や法廷地法に関する取り決めを独占販売契約書に盛り込むようにしましょう。
準拠法:解釈の基準となる準拠すべき法律
法廷地法:裁判所の所属している国家の法律
【まとめ】必要なことを詰めてから独占販売契約書を交わそう
以上、クラウドファンディングのリスクを最小限に抑えるため、海外メーカーに確認すべき点についてお伝えしました。
メーカーとの交渉がうまく進んで、「これは無事に契約ができそうだな」と手ごたえを感じても、いきなり独占販売契約書を渡すのは避けましょう。
かならず、今回お話したことを確認してから独占販売契約書をメーカーに渡すようにしてください。
そうすることで、トラブルが起きるリスクを極限まで減らすことができますし、メーカーとの信頼関係もできやすくなります。
物販クラファンについては、無料相談を随時受け付けています。興味のある方はお問合せフォームより気軽にご連絡ください。