クラウドファンディングの募集方式には、「All in方式」と「All or nothing方式」の2つがあります。
設定した目標金額が未達成だった場合でも支援金額を受け取れるのがAll in方式、受け取れないのがAll or nothing方式です。
クラファンサイトによっては、いずれかしかないこともありますが、多くはいずれかを選ぶことになります。
そこで今回はAll in方式とAll or nothing方式の違いについてお伝えします。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- All in方式とAll or nothing方式の違いがわかる
- All in方式とAll or nothing方式のメリット・デメリットがわかる
- 物販クラファンでどちらを選択すればいいかがわかる
All in方式の概要
まず、All in方式の概要について解説します。
冒頭でもお伝えしたように、All in方式は、目標金額が未達成だった場合でも、集まった支援金額を受け取れる方式です。
支援金を受け取れる代わりに、支援数に応じたリターン商品の発送義務が発生し、約20%程度の利用手数料を支払う必要があります。
1円でも支援があればプロジェクトは成立しますが、例え支援者が1人でも商品を発送しなければいけません。
All in方式のメリット
All in方式のメリットは、目標金額達成の有無に関わらず、集まった支援金を受け取れる安心感があります。
確実に支援金を得たい場合は、All in方式を選択することになります。
All in方式のデメリット
All in方式のデメリットは、目標金額が未達成でもプロジェクト遂行義務があり、リターンを送らないといけないことにあります。
そのため、赤字になるリスクがあり、しかもクラファンサイトの利用手数料も支払わないといけません。
All in方式を選択した場合、プロジェクトが赤字にならないか注意しておく必要があります。
後述するように、物販クラファンの場合は、MOQ(最低発注数量)次第で在庫リスクを抱えることになるので注意が必要です。
例えばMOQが100個だった場合、50個分の支援が得られなければ残り50個分の在庫を抱えることになります。
All or nothing方式の概要
All or nothing方式は、目標金額に1円でも届かない場合は、支援の申込みがすべてキャンセルされ、支援金を受け取れません。
その代わり、リターン発生義務が発生せず、手数料も発生しません。
All in方式が支援数に関わらずプロジェクトは必ず遂行しないといけないことに対し、All or nothing方式はプロジェクト中止もあり得ます。
All or nothing方式のメリット
All or nothing方式のメリットは、目標金額未達成の場合は支援金がすべてキャンセルされる代わりにリターン商品の発送義務がなくなることです。
また、クラファンサイトの利用手数料がかかりません。
そのため、MOQが100個だった場合、支援が50個しか集まらなかった場合でも在庫を抱えるリスクがなくなります。
MOQが大きい場合でもリスクを回避できるため、MOQ縛りのある商品のテストマーケティングとして選択されることもあります。
ただ、後述するようにAll in方式でも在庫リスクを回避する方法があります。
All or nothing方式のデメリット
All or nothing方式のデメリットは、まず目標金額が未達成だった場合は一切支援金を受け取れない点です。
また、利用手数料がかからない点も、見方を変えればデメリットになります。
クラファンサイト側から見れば、キュレーターとしてプロジェクトをサポートしても報酬が一切入らないことになります。
そのため、All or nothing方式ばかりのプロジェクトを立ち上げて、目標金額に達成しない場合は、クラファンサイト側の印象も良くありません。
また、支援者から見ても「未達成であれば商品が届かない」と不安を抱かせてしまい、購入意欲を削いでしまうことも考えられます。
All or nothing方式は、イベント系のプロジェクトでは支援者・起案者両者にとって緊張感があって良いかもしれません。
しかし物販系のプロジェクトは、商品の先行予約販売と捉えている支援者が多く、プロジェクトの緊張感より「商品が本当に手に入るか」という不安は先立つと考えられます。
各クラファンサイトの募集方式
クラウドファンディングの募集方式については、クラファンサイトによって扱いが違います。
物販クラファンでよく利用される4サイトで比較すると以下の通りです。
All in方式 | All or nothing方式 | |
Makuake | 〇 | 〇 |
GREEN FUNDING | × | 〇 |
CAMPFIRE | 〇 | 〇 |
machi-ya | 〇 | 〇 |
このなかで、GREEN FUNDINGが唯一All or nothing方式一択ですが、後述するように、さほど大きな問題とはなりません。
物販クラファンの募集方式や目標金額の目安は?
物販クラファンでは、All in 方式とAll or nothing方式どちらを選択するかということですが、結論ではAll in方式を採用することが大半です。
ここでは、物販クラファンの募集方式や、目標金額設定の目安について解説します。
物販クラファンではAll in方式が一般的
まず、物販クラファンではAll in方式を採用することが一般的です。
理由は、取引メーカーと交渉してMOQについて「クラファン支援数=初回MOQ」とすれば、在庫リスクがなくなるためです。
All or nothing方式は、在庫リスクなくテストマーケティングできるメリットがありますが、All in方式でも十分リスクを回避できます。
そのため、大きな理由がない限りは基本的にAll in方式を選択することで問題ありません。
物販クラファンの目標金額設定
クラウドファンディングの目標金額設定とは、ご自身の最終的な目標支援金額のことではありません。
以下のように、クラファンサイトのサクセスバッジの付く金額のことを指します。
この金額を超えれば、All in 方式だろうが、All or nothing方式だろうが支援金額を受け取り、リターン商品を支援者に発送することになります。
「最終的な目標金額=サクセスバッジの付く金額」と思っている方も多いですが、この設定にすると、プロジェクトの初動で成功したことをPRできません。
クラファンプロジェクト期間中でもっとも重要なのは開始直後のスタートダッシュです。
特にMakuakeやGREEN FUNDINGは初動に成功することで、クラファンサイトのランキングなどトップページに掲載されやすくなり、ますます支援が集まります。
このとき、目標金額をプロジェクト初日で見込める金額で設定しておけば、すぐにサクセスバッジが付くので初動に成功したことをPRできます。
多くの人が買っている商品は自分も欲しくなるバンドワゴン効果が期待できるので、支援が集まりやすくなります(以下の記事に詳しく解説しています)。
目標金額の目安は10~30万円くらいを目安にしましょう。
GREEN FUNDINGはAll or nothing方式のみしか選択できませんが、目標金額を低めの設定にしておけば、実質的にAll in方式と同じような運用ができます。
All in方式で在庫リスクをなくす方法
先ほども少しお伝えしましたが、All in方式でも無在庫でリスクなくクラファンを実施するには、「クラファンの支援数=初回MOQ」となるようにメーカーと交渉します。
海外メーカーを例として、具体的には次のことをメーカーに伝えていきます。
- 商品が素晴らしいので、どうしても日本で販売したい
- しかし日本の販売実績がなくPRもしていないのでリスクは冒せない
- 一般販売を見据えてPRとテストマーケティングを兼ねてクラファンを実施したい
- 「クラファンの支援数=初回MOQ」とすればお互いリスクがない
- 予想以上の支援を得られたら追加発注する
海外メーカーもクラファンで終了ではなく、一般販売までして継続的に商品を売ってほしいと考えています。
そのため、先を見据えてテストマーケティングしたいから、少なくとも初回MOQはクラファン支援数にしてほしいと交渉するのです。
クラファン後の展開がどうなってもメーカーにとってはリスクがないことを伝えながら、一般販売を前提として交渉を進めてください。
【まとめ】物販クラファンはAll in方式で目標金額は低めに設定
以上、クラウドファンディングの募集方式について解説しました。
ただ、物販クラファンでは、ここは悩むところではなく、よほどの理由がなければAll in方式として目標金額を低めに設定するのが一般的です。
GREEN FUNDINGはAll or nothing方式しかありませんが、目標金額をプロジェクトの初動で達成できそうな金額に設定すれば問題ありません。
募集方式については、あまり悩むところではありませんが、重要なのはメーカーとのMOQの交渉となります。
「クラファンの支援数=初回MOQ」となるように交渉し、厳しい場合は在庫の許容範囲や、海外クラファンの支援額(Kickstarter、Indiegogoなど)を参考に慎重に決定しましょう。
物販クラファンについては、無料相談を随時受け付けています。興味のある方はお問合せフォームより気軽にご連絡ください。