クラウドファンディングには主に「購入型」「寄付型」「金融型」の3種類がありますが、各々で関わる法律が変わってきます。
成田式・購入型クラファンは、この中でも「購入型クラウドファンディング」に相当します。
そこで、今回は購入型クラウドファンディングで注意したい法律規制についてお伝えします。
購入型クラウドファンディングに関わる主な法律は3つ
購入型クラウドファンディングに関わる主な法律は、次の3つです。
- 特定商取引法(特商法)
- 景品表示法
- 消費者契約法
購入型クラファンのポイントは、リターンとして商品を提供するため、実質的には商品販売と同等になることです。
そのため、通常のWebサイトと同様、クラファンサイトに掲載するランディングページ(LP)は広告という扱いになります。
そのため、特商法や景品表示法などの広告規制に関わる法律を守らなくてはいけません。(寄付型クラファン、金融型クラファンの場合は、商品販売ではないので広告扱いにはなりません)
ただ、特商法や景品表示法の広告規制は、基本は単純なルールなので、さほど難しい話でないので大丈夫です。
なお、物販に関わる広告規制で景品表示法と同じくらい有名なのが、サプリメントや化粧品、医療機器などが対象となる薬機法です。しかし、成田式クラファンのような海外仕入れでは、薬機法関連商品は広告規制以前に輸入&販売そのもののハードルが高く、おすすめできません。
そのため、本記事では薬機法に関わる商品の広告規制については、割愛します。
【法律1】特定商取引法
特定商取引法(以下特商法)とは、販売者(クラファンでは起案者)の悪質な勧誘・営業行為を防いで、消費者(クラファンでは出資者)の利益を守るための法律です。
以下のような販売を対象に、販売者が守るべきルールを定めた法律です。
- 訪問販売
- 通信販売
- 電話勧誘販売
- 連鎖販売取引(ネットワークビジネス)
- 特定継続的役務提供
- 業務提供誘引販売取引
- 訪問購入
購入型クラファンは、このなかでも通信販売にあたります。では、特商法を守ると言っても、具体的にどのような対応をしないといけないのでしょうか?
特定商取引法に基づく表記
販売者は、消費者に対して、「特定商取引法に基づく表記」という広告の表示を義務付けています。
「特定商取引法に基づく表記」というのを見たことがある人もいるのではないでしょうか?
具体的に「特定商取引法に基づく表記」では、以下のようなことを記載します。
事業者 | ー |
運営統括責任者 | ー |
所在地 | ー |
連絡先 | 電話番号、メールアドレスなど |
商品の販売価格 | 「プロジェクトページに記載」などでOK |
販売価格以外の価格 | ー |
商品の引き渡し時期 | 「募集期間終了日以降」などでOK |
支払い方法 | ー |
Makuakeなど通常のクラファンサイトでは、以下のような情報を掲載しないと、出品できないようになっています。
とはいえ、必要事項を淡々と記入すれば良いだけなので、難しいことは何一つないので安心してください。
広告規制
特商法では、誇大広告を禁止しています(特定商取引法第12条)。
また、消費者庁から、誇大広告になってないか確認するために合理的な根拠を示す資料の提出が求められることがあります(特定商取引法第12条の2)。
ただ、後述する景品表示法の広告規制に重なることがほとんどで、基本的には景品表示法を遵守していれば問題ありません。
【法律2】景品表示法
※確実に誰でも効果があることではないのに、「絶対」「100%」と言い切るのは景品表示法違反の典型例
広告規制に関わる法律といえば、全業種、全商品に関わるのが景品表示法ですが、商品販売と捉えられる購入型クラファンでも関わる法律です。
景品表示法には、大きく分けて虚偽・誇大表現を規制する優良誤認と、本当はお買い得でないのに、お買い得に見せる有利誤認に分けられます。
とはいっても、複雑難解で知られる薬機法の広告規制に比べると、景品表示法はさほど難しくありません。
誇大・虚偽広告を規制する「優良誤認」
優良誤認とは、虚偽・誇大表現、つまり嘘をついたり、実際の商品よりも「とても良い!」と思わせたりすることです。
優良誤認に気を付けるポイントは次の3点です。
- 事実であり、客観的な裏付け・根拠があること
- 社会通念上常識の範囲内で可能なことを表現すること
- 過去の指摘事例と同じ表現ではないこと
特に重要なのが③です。余裕があれば過去の指摘事例、購入型クラファンであれば物販の指摘事例を見てみると良いでしょう。
過去の物販の指摘事例を見てみると……
- 原材料、原産国が表記と違う
- 撥水加工していると言いながら、撥水加工されていない
- 「200cc吸収」と言いながら、実際はできない
- 60W形の明るさを謳いながら、実際はもっと暗い
- 6~10時間で充電と言いながら、実際はできなかった
- 「この技術は日本で当社だけ」と言いながら、日本唯一でなかった
- 比較表で他社にはない性能と言いながら、他社にある性能だった
※消費者庁「景品表示法における違反事例集」を一部抜粋
このような違反が見られました。つまり、
- 書いてあることが間違っている
- 書いてある数値が、実際と大きくかけ離れている
- 他社より優良というわけでないのに、比較表で優良と見せる
※本当に優良であれば比較表を出すのはOKです
このような表現をしないように注意すれば良いことがわかります。
お買い得に見せかける有利誤認
価格表記で、実際よりもお買い得となるような記載をしてしまうことです。
有利誤認で気を付けなければいけないのは、次の2点です。
①実際には限定されていない「今だけ」「今なら」
例えば「先着100名限定!9,800円⇒4,980円」と言いながら、101人目以降も割引商品で売るようなケースが有利誤認とされます。ただ、販売期間が限定されている購入型クラファンでは、あまりないケースかと思われます。
②販売実績がない「二重価格」「●万円相当」
これについては、
- 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
- 将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
いずれかを満たしていればOKです。購入型クラファンの場合は、以下のように「将来の販売価格」を表記することが多いでしょう。
これで、実際に目標達成後に19,800円で販売すれば全然問題ありません。しかし、実際は15,800円の価値しかない商品で、目標達成後15,800円で売っていたら、景品表示法違反になります。
不当に高額に見せて、お買い得に見せていたと判断されるためです。
【法律3】消費者契約法
通常の通信販売と同じ扱いを受ける購入型クラファンでは、起案者は瑕疵担保責任を負うことになります。
購入型クラファンの場合、届けた商品が不良品であった場合や、商品が届けられない場合に返金に応じるようなケースです。
この瑕疵担保責任について、「瑕疵担保責任は一切負わない」という免責条項を設けることもできなくもありません。
しかし、そんなときに壁になるのが消費者契約法です。
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする
※消費者契約法第10条
つまり、免責条項を設けても無効になることがあります。
また、法律うんぬん以前に、誠実な対応をしなければ出資者からの信頼を落とすため、今後も継続してクラファンで支援を得ることが難しくなります。
これは大きな痛手になるので、誠実な対応は心がけるようにしましょう。
クラファン終了後のリターンの手順については、以下の記事に詳しく書いていますので、参考にしてください。
【まとめ】クラファンに関わる法律は難しくない
以上、購入型クラウドファンディングに関わる広告規制についてお伝えしました。
- 特商法⇒「特定商取引法に基づく表記」の記載
- 景品表示法⇒嘘、大げさに気を付ける
- 消費者契約法⇒リターンで誠実な対応をする
まとめると、たったこれだけで、決して難しい話ではありません。購入型クラファンへの法律の敷居がかなり下がったのではないでしょうか?
なお、成田式・購入型クラファンは海外仕入れ品を扱うので、輸入規制に関わる法律も注意する必要があります。こちらはクラファンに関わる法律とは毛色の違う話なので、別の機会にまとめてお話しします。
その他、成田式クラファンにご興味のある方の無料相談は随時受け付けていますので、随時お問合せフォームより気軽にご連絡ください。