クラウドファンディングが日本で登場した頃(東日本大震災後の2011~2012年頃)は、まだ物販系のプロジェクトは多くありませんでした。
物販クラファンが盛り上がり始めたのは、だいたい2017年頃で、2019年末のMakuakeの上場で一気に知られるようになりました。
今では「クラウドファンディング=魅力的な新商品が手に入るプラットフォーム」として認知されるようになってきています。
本記事では、起案者の立場で物販系のプロジェクトの現状や、今後のクラファン市場についてお伝えします。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- 物販クラファンの現状と今後が理解できる
- 物販クラファンで成功するために重要な考え方がわかる
物販×クラウドファンディングの現状
冒頭でお伝えした通り、物販系のクラウドファンディングは、以前よりも一般的に認知されるほど市場が活発になっています。
支援者は右肩上がりで増えている
以前はネットで買い物と言えばAmazonや楽天などが中心でしたが、そこにクラウドファンディングも加わっているといっても過言ではありません(Amazon、楽天とクラファンでは消費者層や商品が全然違います)。
購入型クラファンに強いMakuakeについては、下記のように会員数が右肩上がりで増え続けています。
※株式会社マクアケ 2022年9月期 第2四半期 決算説明資料
起案者の数も増えている
一方でクラファンは、支援者だけでなく起案者の数も増えています。
Makuakeの掲載開始数を以下に示す通り、四半期ごとのデータでは減少した時期はあるものの、前年同月比では増え続けています。
※株式会社マクアケ 2022年9月期 第2四半期 決算説明資料
クラウドファンディングの認知拡大により、支援者がクラファン出品中の新商品を購入したり、起案者が新商品を出品したりすることが増えてきているのです。
クラファンは、新商品のテストマーケティングとPRを在庫リスクなく行えるので、新商品を売りたいメーカーにとっては最適な手段なのです。
これは世界的にも同じ考えで、海外メーカーもクラファンをきっかけに日本市場に商品を広めていきたいと考えています。
そのため、新商品を開発したいというメーカーが存在する限りは、クラファンの起案者の数はまだ伸びるのではないかと思われます。
起案者の数は増えているがライバルは弱い
起案者の数が増えているということは、「ライバルセラーが増えている」とネガティブに捉える人もいるかもしれません。
たしかに「どんな商品でも出せば売れる」状態だった2019年頃に比べると、ただ出すだけでは売れなくなっています。
これは起案者の数が増えたことだけではなく、クラファンサイト側の規制が強化されてきたこともあります。
しかし、「ただ出品するだけでは売れない」というだけであって、「クラファンで出品しても売れない」ということではありません。
クラファン市場は飽和状態ということはなく、会員数は今でも増えています。しかも後述するように、クラファン市場はまだまだ伸び続けると考えられます。
そのため、「きちんと売れるように対策したプロジェクトは以前より売れている」というのが現在の物販クラファンの現状です。
つまり、何百万円、何千万円と支援を集めるプロジェクトと、まったく支援が集まらないプロジェクトに二極化されているのです。
実際にMakuakeを見てみると、「初日でドーン!と売れているプロジェクト」と「全然売れていないプロジェクト」に明確に分かれています。
起案者は増えていますが、特に施策なく起案するだけのプロジェクトが大半です。
【起案者の数は増えているがライバルは弱い】というのが今のクラファンの現状です。
そもそもただプロジェクトを起案するだけでは、商品の販売力が身に付かないので、時代の変化があると対応できなくなります。
物販クラファンに取り組むのであれば、売れる施策を行いながら、販売力を鍛えて一生食べていけるスキルを身に付けていきましょう。
今後のクラウドファンディング市場
現在、クラファン市場は活発で支援者、起案者ともに伸び続けていることがわかりましたが、今後はどうなるのでしょうか?
2021年は支援額減少も、今後も市場は活況の見込み
もちろん、今後も伸び続ける! という保証はなく、成熟期に入る可能性はありますが、しばらくは市場が活発になると考えられます。
下記に示すのは、Makuakeの決算資料から引用した応援購入総額の推移です。
※株式会社マクアケ 2022年9月期 第2四半期 決算説明資料
Makuakeの資料を見ると、2022年は若干総支援額が落ちているものの、依然として高い水準を保っています。
特にコロナ禍で需要の高い関連グッズがヒットした影響で、2020年以降は市場が急拡大しているのがわかります。
また、矢野経済研究所の調査でも、クラウドファンディングの市場は下記のようなMakuakeと似た推移になっています。
※株式会社矢野経済研究所「国内クラウドファンディングの新規プロジェクト支援額(市場規模)推移」を引用。購入型、寄付型、金融型クラファンを含めた支援額
2021年度の市場の減少は、コロナ関連グッズのプロジェクトが落ち着くことが原因と分析されています。
資金調達に加えて情報発信の場へと進化
矢野経済研究所の調査結果では、以下のような推察がされています。
クラウドファンディングは、これまでも資金調達の手段としてだけではなく、新製品等の認知向上、ブランディングの手段としても活用されてきた。コロナ禍によって、その活用が一層進化してきており、今後は、より効果的な新製品発表の施策として、クラウドファンディングとリンクしたオンラインデビューが一般的になっていくのではないかとみる。
※株式会社矢野経済研究所「国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2021年)」
特に物販系のクラウドファンディングは、資金調達することでリスクなくテストマーケティングとPR向上の点で画期的な新商品に相性のいい手段です。
今後も新商品の発表の場として一般的に活用されていくのではないかと考えられます。
また、次の推察も要注目と言っていいでしょう。
今後、クラウドファンディングは、人と人との連帯とともに社会を変えるメッセージングや実行力を伴ったメディアであると認識され、起案プロジェクトには、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)やESG[環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)]の観点がより一層大切になると考えられる。
※株式会社矢野経済研究所「国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2021年)」
これは物販系のプロジェクトでも同じことが言えて、すでにSDGsやサスティナブル系は重要な要素になりつつあります。
しかし、これは支援者の需要があり、「こんなのが欲しかった」と思える商品であることが前提です。
SDGsだけをウリにしたような商品は、プロジェクトとしては厳しいところがあるので、支援者の需要を重視してプロジェクトを立ち上げましょう。
【まとめ】しっかりした施策を取れば物販クラファンは成功できる
以上、物販系を中心にクラウドファンディングの現状と今後の市場についてお伝えしました。
今までの話をまとめると、
- 支援者も増えているが起案者も増えている
- 起案者は増えているがライバルは弱い
- プロジェクトが成功するための施策を取れば成功できる
- コロナ関連グッズの需要は低下の見込み
- SDGs、サスティナブルの要素が今後ますます重要となる
物販クラファンは、たしかにライバルが増えてきた印象はありますが、マーケティングなどの施策をしっかり取っている起案者は多くありません。
出品さえすれば売れる時代ではなくなりましたが、商品力を見抜く力と販売力を身に付ければ、物販クラファンでは成功する確率は十分高いでしょう。
また、例えクラウドファンディング市場が仮に衰退したとしても、販売力を身に付けることで、あらゆる媒体に対応できるので問題ないと考えられます。
物販クラファンについては、無料相談を随時受け付けています。興味のある方はお問合せフォームより気軽にご連絡ください。