クラファンのリターンはどんな価格帯で、いくつくらい用意した方がいいのか? 実際にプロジェクトを立ち上げる際に悩んだことはないでしょうか?
商品・サービスをリターンとする購入型クラウドファンディングでは、どんなリターンを、どんな価格帯で提供するかが重要です。
物販、飲食店、サロン、映画・舞台など成功プロジェクトは多数ありますが、適当に値付けしてリターン設定しているわけではありません。
どんなに良い商品・サービスを用意したとしても、リターンの設定がいまいちだと支援が伸び悩むこともあります。
とはいえ、リターンの設定はある程度パターンが決まっています。
そこで、そもそもリターンの定義とは何か? 購入型クラウドファンディングで実際によく見られるリターンの設定方法について解説します。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- 購入型クラウドファンディングのリターン設定の考え方がわかる
- 支援を得られるリターンを設定することができる
- 次回以降のプロジェクトに活かして支援を集めることができる
クラウドファンディングのリターンとは?
購入型クラウドファンディングは、金融型や寄付型と違って、支援金と同等の価値のある商品やサービスを提供しないといけません。
つまり、支援金をいただくお返しに提供する商品・サービスという意味で一般的に「リターン」と呼んでいます。
とは言っても、購入型クラウドファンディングでは、商品・サービス≒リターンと思ってもらってほぼ間違いではありません。
しかし、後述するように1つの商品で複数リターンを用意するパターンもあります。
リターン商品の内容については、物販、無形のサービス、映画やコンサートのチケット、飲食店のコースメニュー、会員権、宿泊券、農場などの体験(いちご狩り体験等)、セミナー参加など様々です。
ただ、いずれのプロジェクトにしても、今までにない新商品、サービスを提供する必要があります。
すでに他で流通している商品・サービスはリターンとして提供できない点は注意してください。
購入型クラウドファンディングのリターン設定6つの方法
購入型クラウドファンディングの成功事例を見ると、適当にリターンを設定しているわけではありません。
何かしら根拠があって複数のリターンを設定しているケースがほとんどです。
そこで、購入型クラウドファンディングのリターン設定の方法について解説します。
「超早割」「早割」先行者利益でバンドワゴン効果を狙う
1プロジェクト1商品が基本となる物販系のクラウドファンディングでも複数リターンを設定します。
物販の場合、支援の申込みの際に色やサイズなどのバリエーションで価格を変えることはほとんどしません。
これは、支援者が何を選んでいいのか迷ってしまうことを避けるためで、リターンはすべて同一商品です。
では、なぜ複数リターンを設定するかというと、「超早割」「早割」と早期に支援をする支援者がお得なリターン価格で商品を手にすることができるようにするためです。
つまり、例えば次のシューズのように販売個数を限定して、様々な割引率で販売価格を階段状にするのです。
こうすることで、超早割など割引率の高い商品が早い者勝ちになるので、プロジェクト開始直後から支援が集まりやすくなります。
プロジェクト開始初期から支援が集まると、まだ支援していない人にも「こんなに売れているなら良い商品だろう」と支援を促すことができます。
この心理効果をバンドワゴン効果と呼びますが、それによって支援が支援を呼ぶ好循環になります。
そのため、物販系や飲食店の一部など1プロジェクト1商品の場合は、超早割、早割と先に購入した人が得するリターン設定にするといいでしょう。
詳しいことは、以下の記事を参考にしてください。
セット販売も検討する
物販系のクラウドファンディングでは、商品にもよりますが「2個セット」「3個セット」などセット販売することも多いです。
なかには、友達や家族にプレゼントしたい、色やサイズ違いの商品も欲しいという人もいるためです。
セットのリターンを選ぶ人数は少ないのですが、単価は2倍、3倍となるので支援額を押し上げることはできます。
そのため、「こんなの2個買う人いないと思う」という商品であっても、少しでも支援者がいれば大きいので設定だけはしておきましょう。
また、この考えは物販以外のプロジェクトでもあてはまる(イベントに団体で参加したい、2人で飲食店に行きたい等)ことなので、参考にしてください。
松竹梅の法則で真ん中の価格の支援を多く集める
イベント系や飲食店、サロンなど、1プロジェクトで複数の商品メニューがある場合は、松竹梅の法則を意識してリターン設定するといいでしょう。
松竹梅の法則とは、飲食店やサロンのメニュー表で多く採用されている考え方で、真ん中の価格の商品が一番購入されるというものです。
例えば、居酒屋のメニュー表が以下のようになっている場合、Bコースが一番購入されるというものです。
Aコース:2,500円
Bコース:5,000円
Cコース:7,500円
つまり、「高いのは嫌だけど、そこそこ良い商品を購入したい」という心理が自然と働き、真ん中の価格のメニューを選ぶのです。
おそらく、本記事をご覧になっている方も、真ん中の価格を選んだ経験はあるのではないでしょうか?
そのため、一番売りたい商品を真ん中のリターン価格にすることで、狙い通りの支援を得られる可能性が高くなります。
松竹梅と言いましたが、リターンは3つが良いというわけではありません。
リターンA:1,000円
リターンB:5,000円
リターンC:10,000円
リターンD:20,000円
リターンE:50,000円
という設定でも構いません。この場合は、リターンCがもっとも購入されることになります。
あまりリターンが多すぎると支援者が迷うことになるので注意が必要ですが、8~9個くらいであれば許容範囲です。
高額のリターンも用意しておく
これもプロジェクトによりますが、10万円以上の高額のリターンを用意しておくのも1つの手です。
クラウドファンディングでは、多くの支援者が支援しそうな金額のリターンの他、高額のリターンを用意していることもあります。
クラウドファンディングの話で、「ある人が100万円も支援してくれてびっくり」という話を聞いたことがないですか?
リターン内容をよく検討しておく必要はありますが、少数の支援で支援額を大きく押し上げることになるので、検討の余地はあります。
原則リターンは多くても10個以内
以上のことから、どんなプロジェクトでも、商品が1つでも複数のリターンを用意した方がいいことが理解できたかと思います。
ただ、あまりリターンが多く、複雑な設定になっていると支援を避けられてしまうので注意してください。
目安はどんなに多くても10個以内です。
先ほどもお伝えした通り、あまり選択肢が多いと、どんなリターンに申し込もうか迷ってしまい、かえって購入を躊躇してしまいます。
これは、選択回避の法則と言われているもので、リターンの数については最低限のものは用意しつつ、多すぎない程度にしましょう。
プロジェクトの内容に合った適切なリターンを用意する
リターンについては、プロジェクトの内容に合った適切なリターンを用意して一貫性を保つようにしましょう。
当然と言えば当然なのですが、プロジェクトとあまり関係のないおまけのようなリターンを用意しても支援が集まりません。
また、様々なリターンを用意して設定が複雑になると、先にお伝えした通り、選択回避の法則から支援を避けられる可能性があります。
複数のリターンを設定しつつ、わかりやすくシンプルな設定を心がけましょう。
【まとめ】支援者に新しい体験を促すリターンを提供しよう
以上、購入型クラウドファンディングのリターン設定について解説しました。
クラウドファンディングは、複数のリターンを設定していることが大半ですが、どういう考え方でリターンを用意すればいいか理解できたかと思います。
購入型クラウドファンディングは、今までにない新商品やサービスを提供することが前提となります。
支援者に新しい体験をしてもらい、喜んでもらえるリターンを提供しましょう。
なお、購入型クラウドファンディングのなかでも物販に特化したことは拙著「物販×クラウドファンディング実践大全」に詳しく掲載しています。
物販系のプロジェクトを立ち上げようという方は、ぜひご覧ください。
また、物販クラファンについては、無料相談を随時受け付けています。興味のある方はお問合せフォームより気軽にご連絡ください。