本記事では、物販クラウドファンディングを終え支援を集めた後の卸売り販売を行う際に、契約書に記載しておきたい内容について解説しています。
自身が商品を直接ユーザーに発送するのではなく、小売店に卸す形態をとるのなら契約書の作成は非常に重要なものになります。
契約書に盛り込むべき重要事項について確認しておきましょう。
クラウドファンディングから卸までの一般的な流れ
卸契約書内容の注意点と盛り込むべきポイントに入る前に、クラウドファンディングでの卸販売までのタイミングと流れを簡単におさらいしておきましょう。
クラウドファンディングの起案・リターン
まずはMakuakeやGREEN FUNDINGなどでプロジェクトの起案を行います。期間は大体1か月~2か月位かけて行う方が多いです。
プロジェクトで集まった支援金を元にメーカーに商品発注し、商品を支援者の方々にリターンします。
【関連記事】クラファンプロジェクト後のリターンを滞りなく行うための手順
リターン終了後、一般販売販路の開拓
無事リターンが終了した後は一般販売に向けて動きましょう。
そもそもクラウドファンディングは日本市場でのニーズがあるか確かめるためのテスト販売のようなもの。
海外メーカーとしても、クラウドファンディングではなく”日本での販路開拓”を希望しているわけなので、クラファンが終わったら終了ではなく、その後日本市場で広めていくために様々な販路を開拓しましょう。
自社ECサイトやAmazon、楽天、BASEやshopfiyなどのショップで販売することが多いですが、ニーズがあると判断されれば大型小型実店舗より卸の声がかかることもあります。
クラファンは日本にはない海外の面白いもの、新しいものが集まる展示会のような場所なので、こうした各店舗のバイヤーさんが定期的にチェックしてきになったプロジェクトに関しては声をかけてくれることがあります。
プロジェクト中に声がかからなかった場合でも、終了後自ら営業することもできます。
卸先が決まったら、契約を結びましょう。
卸先が決まったら本記事メインである契約書を交わしましょう。
契約書に関しては先方から雛形を提示されることもありますが、会社の規模感によってはこちらから内容提示を求められるケースも少なくありません。
契約書に盛り込むべき要点と注意点をしっかりと押さえておきましょう。
そもそも契約書は必要?
法律上、契約書を結ばなくてはならないといったルールがあるわけではありません。
しかし契約書を作成しないということは口約束で業務をすすめるということ。
いくら相手が信頼できる人だとしても口約束は言った言わないといったトラブルに発展しやすいです。必ず契約書は作成しておくべきでしょう。
契約書に最低限盛り込むべき5つの内容
契約の作成は重要ですが、あえて条項の多い分厚いものを作る必要はありません。
最低限盛り込むべき内容を紹介していきますので、まずはそれをおさえておきましょう。
それ以外のものは必要に応じて加えれば問題ありません。
支払い方法
商品を卸すこちら側からすれば、どのように支払いが行われるのかは最重要項目と言ってもよいもの。
ここは現金払いと取り決めておきましょう。
現金以外の支払い方法があるのかと疑問に思うかもしれませんが、商品代金をクレジットカードやギフト券で支払われては困りますよね。
現金で支払うのが当たり前と思っていても、契約書に記載がなければ支払い方法は自由だということになります。
このような話の食い違いをなくすためにも契約書は必要なのです。
締め日と支払日
商品の代金を納品の度に支払ってもらうのではなく、月単位などで支払ってもらう場合には締め日と支払日を決めておきましょう。
お金が入ってくると思っていたタイミングで入金がないのはとてもストレスですし、トラブルに発展しやすいポイントでもあります。
たとえば、「毎月月末を締め日とし、翌月末日までに支払うこととする」などと記載します。
末日に銀行が休みの場合はどうなるのかとお思いになるかもしれませんが、「〇日まで」と記載していれば問題ありません。
「毎月月末を締め日とし、翌月末日までに支払うこととする」とした場合は、月の末日に振り込みを行うという意味ではありませんよね。
末日の曜日に関わらず末日までに支払いがなければ契約違反となるわけです。
卸価格(%表記)と購入方法
卸価格(おろしかかく)とは、卸売り業者から小売店への販売価格です。
ちなみにメーカーから卸売業者への販売価格も卸価格と言いますが、今回は考えなくてよいです。卸価格は卸値(おろしね)とも言います。
購入方法は基本「買い取り」となります。
小売店に卸した商品を、小売店が一般消費者に売れなかった場合に、自身の取り分も変更するのであれば「買い取り」ではない購入方法を記載する必要があります。
購入方法が何であっても、商品の値段設定(卸価格)が高くて一般消費者が購入してくれなければ、小売店は再度商品を仕入れてはくれないでしょう。
卸価格はそのまま自身の利益に直結しますが、高くすればよいわけでもないのです。
卸値をある程度は妥協して安くすることによって、小売店の売値が値引きできるように配慮する必要があります。
商品は定価から値引きされて販売されることを想定して、おおよそ定価の8割くらいを売値として想定しておけば、その金額の5割から6割を卸値として決定できます。
ここでいう定価とは、小売店がその商品を売り出すときの定価のこと。その金額をあらかじめ決めておいて、その何%の金額で卸すかを契約書に盛り込みます。
契約書には、たとえば「卸価格は、定価(税抜)の60%とし、買い取りとする。」などと記載します。
もちろんここでは自身がメーカーから仕入れた金額も考慮した上でパーセンテージを決めていきます。
%表記で記載する理由は、定価が変動したときでも一定割合の利益を確保できるようにするためです。仮に商品に人気が出て、定価が値上げされればその分利益も多くなるわけです。
契約期間と契約延長の方法
契約期間と同時に契約を終了する方法と延長する方法を契約書に記載します。
継続的に契約をする前提であるならば契約の更新は自動的に1年間の契約延長などとしておくとよいでしょう。
契約書への記載例としては「契約期間は2年間とする。契約期間終了の申し出は契約満了の3ヶ月前に行うこと。契約終了の申し出がない場合は、自動的に一年間の契約延長とする。」などとなります。
契約書に定めない事柄の取り決め方法
契約書では、当然契約書に書いてあることしか効力を発揮しません。
そのため予想外の出来事への対応が契約書だけでは難しいことがあります。
これは、そのようなときのために、記載しておくもので、よくある記載例としては「本契約書に定めない事柄に関しては、双方がその都度協議し問題の解決にあたることとする。」といったものです。
これを記載しておくことで、イレギュラーなことに対しても対応できるようになります。忘れずに記載しておきたい文言です。
契約内容で特に注意が必要な部分
契約書を交わす目的はトラブルを避け、スムーズな取引を行うことできちんと利益を得ることです。
そのため契約内容で最も注意が必要な部分は支払い方法であると言ってよいでしょう。
支払い方法が一番大切。現金払いで取り漏れリスクを回避する
支払いを現金で固定ことは必須です。
仮に支払いが遅れそうになった場合の取り決めもしておいた方がよいでしょう。
しかし、安易に「その月に払えない場合は来月まとめて2か月分支払う」とするのはおすすめできません。これでは支払い遅延に対するペナルティがないからです。
支払いが遅れることはそのままお金を受け取るこちら側に資金がなくなることを意味します。
たとえば翌月の仕入れなどにも悪影響があるでしょう。支払いが遅れている間にもこちらは平常運転を続けなければならないわけですから、支払いについては滞りなく支払いがあるという前提でなるべく厳格な取り決めをしておいた方がよいです。
商品を卸す前に双方で確認しておきたい部分
ここからは契約書必ず載せておきたい5つの内容に加えて、トラブル回避や取引をスムーズにするために確認しておきたい内容について解説します。
この項目については必要に応じて契約書に追記するとよいでしょう。
一般販売価格
一般販売価格とは、実際に小売店で商品が売られる金額のことです。
基本的に商品は定価から割り引きして販売されるので、一般販売価格よりも定価の方が高くなります。
定価と同様に一般販売価格を実際に卸す前に確認しておけば、卸価格が適正かどうかのチェックにもなるでしょう。
アイテム最低ロット数
ロット数とは1回で生産する製品数量のまとまりのことを言います。
卸売りの場合は、一度に最低いくつ商品を卸すかを表します。
最低ロット数を決めておくのは、たとえば1個だけ欲しいと言われて1個だけ卸すような体制をとっていえると、発送面をはじめとしたさまざまな業務がひんぱんに行われることになります。仮に発送費を自分が負担する場合は、コスト面も気になりますよね。
業務の効率化と余計なコスト削減のためにも、最低ロット数は取り決めておくようにしましょう。
倉庫への納入費用・発送費用負担
商品を小売店に卸す際は必ず発送が必要になります。
仮に自分が車を運転して商品を小売店まで届けるとしても時間や荷物を積む手間などがかかるわけです。卸し先が少数ならよいですが、ある程度の数になるとドライバーを雇うことも必要になるでしょう。
つまり、商品を届けるだけでもコストが発生することは頭に入れておかなければなりません。
発送に関わる費用は誰が持つのか、については明確にしておくべきでしょう。
とはいえ、商品を仕入れてもらっている小売店に発送費を請求するのは気がひける、という場合にはあらかじめ配送コストも加味した上で卸値をつけておけば問題ありません。
取り扱い説明書の有無
近年ではサイト上で示されていることも多い説明書ですが、紙媒体でなくても説明書は必須のものです。
しかし、海外メーカーから商品を仕入れるという物販クラウドファンディングでは、取扱説明書が付属していないことは珍しくなく、あったとしても英文のものです。
しかし、日本のユーザーに向けて販売をする以上、「海外から仕入れたものだから日本語の取扱説明書はない」という説明は通用しません。
英文の説明書しかない場合は日本語に翻訳したものを、仮に説明書もない場合は1から作成する必要があります。
ただ、この作業自体は必ずしも自身で行う必要はないでしょう。
英文のものは翻訳作業を外部委託することを検討してください。説明書自体がないものの場合、商品の使い方を口頭で説明し、それをライターに文章にしてもらうというのはお互いに骨が折れる作業ですので、動画で使い方を共有、それをライターに文章してもらうとよいでしょう。
可能であれば1つ商品の見本を預ければよりスムーズにできるはずです。
ただ、説明書は文章だけでなく図も必要ですので、ライターとは別にイラストや図の作成ができる方を探す必要があります。
保証期間以外の修理保証について
細かいところのように思えますが、保証期間以外の修理保証について取り決めておくことは重要です。
基本的に製品は、一定期間を経てから不具合が生じるものですよね。つまり、多くの場合は保証期間を過ぎてから修理や交換が必要になるということ。
保証期間でないから修理も交換もできないとなれば、修理してでも使いたいというユーザーの期待を裏切ることになってしまいます。
たとえ有償の修理であっても、可能であるなら対応できるようにしておくのがよいでしょう。
この他にも、物販クラウドファンディングでは、基本的に海外メーカー品を仕入れるわけですから、日本でも使いやすいように取扱書説明書を作成して商品に同封するのかどうかといった細かい点もあらかじめ卸先と決めておくのがおすすめです。
卸販売をする際に注意したいのは、契約書を作成したときには想定していなかったアクシデントやトラブルが起こること。
契約書は必要に応じて新しくしても問題はないので、必要に応じて契約を結び直す、新しい内容に更新するといったことにも柔軟に対応できるようにしておくとよいでしょう。
OMPではクラファン終了後の販路開拓から契約の結び方までアドバイスしています。
いかがでしたか?
クラウドファンディングが終了して、無事一般販売できることになったら必ず必要になる卸契約書。
先方が用意してくれる場合もありますが、こちら側から内容提示を求められることも少なくないので、押さえておきたい箇所を頭に入れておきましょう。
はじめての場合は内容に不安点も多いかと思います。OMP(オンラインマイクロ商社プロジェクト)で不明点をサポートしますので安心してください。
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Amazonで垢バンリスクにおびえながらひとり黙々と孤独に作業しており、精神的につらいとOMPに入ってこられる方も少なくありません。
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