PSEの申請方法を調べているなら、最初にやるのは商品の対象判定です。対象なら、輸入者として事業を届け出て、技術基準への適合確認、必要な検査、記録の保存、表示まで進めます。メーカーが検査を済ませていても、それだけで日本側の手続きが終わるわけではありません。
海外メーカーの電気製品を仕入れ、日本でクラファンや一般販売をする人に向けた手順です。
| 工程 | 主に動く人 | 次へ進むために用意するもの |
|---|---|---|
| 対象と区分を調べる | 輸入者。判断が難しければ経済産業局へ相談 | 本体・付属品の一覧、写真、仕様書 |
| 事業を届け出る | 国内の輸入事業者 | 届出書、電気用品の型式の区分、海外製造者の情報 |
| 技術基準への適合を確かめる | 輸入者。試験は工場や試験機関へ依頼可能 | 適用基準、試験資料、対象製品との対応 |
| 特定電気用品の適合性検査を進める | 輸入者・登録検査機関 | 適合証明書など、法令上必要な証明書 |
| 自主検査と記録をそろえる | 輸入者。実施を委託する場合も内容を確認 | 完成品の検査方法、結果、保存する記録 |
| 表示を確認して販売する | 輸入者・販売者 | PSEマーク、事業者名、定格などの表示 |
この表は国内の事業者が輸入する場合の流れです。各工程の法令上の義務は、経済産業省の案内をもとに整理しています。(2026-10時点・経済産業局の手続き案内)
1. PSEの対象判定は、本体と付属品を分けて行う
商品ページにある商品名だけでは、PSEの対象かどうかは決まりません。電気用品としての品目、電源、定格、構造を見て、本体と同梱する付属品をそれぞれ確認します。
最初にメーカーから取り寄せたいのは、見栄えのよい販促資料よりも仕様書です。何を電源にして動くのか、どのACアダプターを付けて出荷するのかまで、相談先に伝えられる状態にします。
| 確認するもの | メーカーからもらう情報 | 確認が必要になる理由 |
|---|---|---|
| 本体 | 型番、用途、電源方式、定格、外観写真 | 法令上のどの電気用品に当たるかを判断するため |
| ACアダプター | 本体とは別の型番、入力・出力の定格、表示写真 | 本体とは別に、特定電気用品として扱う場合があるため |
| バッテリー | 電池の種類、仕様、組み込み方、同梱方法 | 電池について別の対象判定が必要になる場合があるため |
| 電源コードなど | 同梱品一覧、仕様、表示写真 | 本体だけ確認しても、販売する一式の確認にならないため |
ACアダプターは、法令上の「直流電源装置」に該当するものが特定電気用品の対象になります。反対に、本体の電源がUSBだからといって、同梱品も含めてPSEが不要と決めることはできません。(2026-10時点・経済産業局のACアダプターに関する案内)
メーカーに写真を送ってもらう時は、商品全体と、表示部分の拡大の両方を頼みます。販売ページに写っている製品と、実際に日本向けに出荷する型番が同じかも確認してください。
対象が判断できなければ、仕様書と写真をそろえて管轄の経済産業局へ相談します。似た商品が国内で売られていることや、海外の販売サイトに認証ロゴが載っていることを、自分の商品の判定には使わない方がいいです。
PSE以外も含めて何を調べるか整理したい場合は、輸入商品の認証・法規の全体像を先に確認してください。ここから先は、PSEに絞って進めます。
2. 菱形と丸形のPSEは、必要な検査で分かれる
特定電気用品は菱形、それ以外の対象電気用品は丸形のPSEマークを使います。マークの形を先に選ぶのではなく、対象品目を確認した結果として形が決まります。
| 区分 | PSEマーク | 共通して必要なこと | この区分で加わること |
|---|---|---|---|
| 特定電気用品 | 菱形 | 届出、技術基準への適合、自主検査・記録保存、表示 | 登録検査機関による適合性検査と証明書の保存 |
| 特定電気用品以外の電気用品 | 丸形 | 届出、技術基準への適合、自主検査・記録保存、表示 | 特定電気用品と同じ適合性検査の義務はない |
丸形なら何も調べずにマークを貼れる、ということではありません。登録検査機関の適合性検査が必要かどうかと、製品が技術基準を満たしているかは、別に確認する項目です。(2026-10時点・経済産業局のPSE制度説明)
同じ箱に入って売られる商品でも、本体とACアダプターで区分が違うことがあります。見積もりを取る時も、商品一式という言い方だけで頼まず、どの対象品を、どの区分で確認する費用なのかを分けてください。
ここまで決まってから、工場が持っている試験資料を確認します。対象と区分が分からない段階で認証費用の総額だけ聞いても、必要な工程が全部入っているか判断できません。
3. PSEの事業届出は、輸入する自分の会社で行う
国内の輸入事業者は、対象となる電気用品の輸入事業について届け出ます。メーカーが検査費用を負担する場合も、日本側の輸入事業者としての義務は残ります。
事業開始の届出は、開始の日から30日以内です。届出先は事業所などの所在地と管轄によって決まるため、提出前に経済産業局の案内を確認します。(2026-10時点・経済産業局の届出チェックシート)
準備する情報は、届出事業者の名称・住所、事業開始日、電気用品の区分と型式の区分、海外の製造事業者などです。メーカーの販売名だけでは書けない項目があるので、工場の正式名称や所在地も早めにもらっておきます。
| 準備する情報 | 実務で確認すること |
|---|---|
| 届出事業者 | 誰が国内の輸入事業者として責任を負うか |
| 電気用品の区分・型式の区分 | 販売上の型番を、そのまま法令上の区分と思い込んでいないか |
| 海外製造者 | ブランド名だけでなく、製造者の正式な情報がそろっているか |
| 国内の事業所など | 提出先を判断できる所在地情報がそろっているか |
| 事業開始日 | 届出期限と輸入の予定を確認できるか |
届出には電子手続きの保安ネットと紙の手続きがあります。保安ネットを利用する場合はGビズIDプライムの準備も必要です。(2026-10時点・届出の提出方法・様式)
ここで注意したいのは、届出が受理されたことと、商品が技術基準を満たしていることは別だという点です。届出書を出したから販売できると考えず、検査と表示まで進めます。
検査費用の交渉では、メーカーが負担する範囲と、自分が用意する書類を別々に記録してください。費用を相手が持つ合意だけで、届出まで代わりに終わるものとして予定を組まないことです。
4. 技術基準への適合は、日本向けの仕様と試験資料で確かめる
届出事業者は、輸入する電気用品を日本の技術基準に適合させる義務があります。海外の認証がある場合も、それを日本の基準への適合と同じ意味にはできません。
試験や確認の実施を工場・試験機関へ依頼することはできます。ただし、どの基準で何を確認したか、輸入する製品と資料が対応しているかを、輸入者側で把握する必要があります。(2026-10時点・経済産業局の輸入事業者向け案内)
まず、メーカーに試験資料の一覧を出してもらいます。表紙にPSEと書かれているかだけでなく、対象の型番、製造者、定格、試験に使った仕様を見ます。日本向けにプラグや電源を変えるなら、変更後の状態について確認が必要です。
| 受け取った資料の状態 | 次に確認すること |
|---|---|
| 輸入する型番と一致している | 日本のどの基準で確認され、仕様変更がないか |
| 同じシリーズの別型番 | 今回の型番まで資料の対象に含まれるか |
| 本体の資料だけがある | ACアダプターなど、別の対象品の資料もあるか |
| 海外の規格の資料だけがある | 日本の基準に使える部分と、追加確認が必要な部分は何か |
| 資料を出せない | 試験をやり直せるか。費用と日程を引き受けられるか |
国際規格をもとにした基準を使える場合もありますが、海外で試験済みなら追加確認なしと決めるものではありません。採用する基準と不足する試験は、資料を見せたうえで確認先と決めます。
資料が足りないと分かった時点で、販売予定も見直します。先に公開日や発送日を決めてしまうと、後から必要な試験が出た時に、商品の確認より日程を守ることを優先したくなるからです。
5. 菱形PSEは、適合性検査の証明書までそろえる
特定電気用品には、技術基準への適合確認に加え、登録検査機関による適合性検査が必要です。販売までに適合証明書の交付を受け、保存するところまでが工程に入ります。
海外工場がすでに検査を受けている場合には、適合同等証明書の副本を入手・保存する方法があります。ただし、工場から送られてきたPDFやコピーが、そのまま法令上の副本になるわけではありません。(2026-10時点・適合性検査と証明書の扱い)
| 工場からの回答 | 輸入者が確認すること |
|---|---|
| 検査を受けていない | 今回の製品について、どの登録検査機関で進めるか |
| 適合同等証明書がある | 対象の電気用品・型式、有効期間、正式な副本を入手できるか |
| 他社向けの資料ならある | 今回の製品と輸入者の手続きに利用できる資料なのか |
副本は、外国製造者が検査を受けた登録検査機関から発行されるものです。対象や有効期間まで確認し、使えることが分かってから、検査をどこまで省略できるか判断します。
メーカーとの話では、認証済みという一言で終えず、証明書の名称と対象を聞いてください。書類が存在することと、自分が輸入する製品に使えることの両方が必要です。
6. 自主検査は量産品にも行い、記録を3年間保存する
最初の試験を終えても、量産した製品の確認は残ります。対象の完成品について、法令で定められた方式による全数の自主検査を行い、その記録を検査の日から3年間保存します。
工場に実施を委託する場合は、検査方法と記録の形式を生産前に確認しておきます。出荷後に検査表を頼んで、必要な項目が入っていなかったと分かる進め方は避けたいです。(2026-10時点・経済産業局の自主検査記録の確認例)
記録では、製品を特定する情報、検査の年月日と場所、検査者、数量、方法、結果を確認します。電源が入ったという動作確認だけで、法定の検査を行ったことにはできません。
実務では、検査記録と輸入した商品の型番・数量を対応させて保管します。工場の担当者が替わった時も、前回と同じ形式で記録を受け取れるよう、発注時に必要書類として伝えておくと管理しやすくなります。
7. PSEマークだけでなく、事業者名と定格も表示する
PSEの表示は、必要な義務を履行した製品に付けます。マークの画像だけをメーカーへ送るのではなく、届出事業者名、特定電気用品では登録検査機関名、定格なども含めて表示案を確認します。
原則として近接させる表示事項や、用品ごとに必要な定格表示があります。自社のブランド名と届出事業者名は同じとは限らないので、販売用のロゴだけで済ませず、正式名称を基本に表示を作ってください。(2026-10時点・経済産業局の表示に関するFAQ)
工場から表示の版下を受け取り、量産前に確認します。その後、実物の写真でも、指定した表示が付いているかを確かめます。本体とACアダプターが別の対象品なら、両方を確認する流れです。
必要な表示がない電気用品には販売の制限があり、違反内容に応じて行政措置や罰則の対象となります。マークを付ければ足りるのではなく、その表示を付けられる状態まで準備することが大切です。(2026-10時点・電気用品安全法 第27条・第7章)
8. PSEの費用は工程別に見積もり、商品選びに戻して判断する
PSE対応の費用は、区分だけで一律には決まりません。既存資料が使えるか、試験や仕様変更がどこまで必要か、継続する検査を誰が行うかによって変わります。
| 見積もりの項目 | 費用が変わる主な条件 | メーカーと決めること |
|---|---|---|
| 対象判定・資料の確認 | 仕様の複雑さ、資料の不足、支援を頼む範囲 | 誰が資料を集め、相談するか |
| 技術基準への適合確認・試験 | 適用基準、既存試験資料、追加試験 | 試験費用とサンプルの負担 |
| 特定電気用品の適合性検査 | 証明書の利用可否、新規検査の内容 | 申込みと証明書の受領 |
| 自主検査 | 製造数量、検査の方法、工場の体制 | 継続する検査と記録の提出 |
| 表示・仕様の修正 | ラベルや製品の変更範囲 | 量産前の確認と修正費用 |
届出の手続き、試験費用、外部に支援を依頼する料金は、同じ項目にまとめず確認します。見積もりには何が含まれ、何が別料金なのかをそろえると、メーカーとの負担交渉もしやすくなります。
僕は初めての商品なら、認証が不要と確認できた商品から始める考え方を勧めています。一方で、費用と手間を引き受けられる段階なら、PSE対応が必要なことは他社の参入を減らす理由にもなります。必要だから即座に外すのではなく、自分の資金と経験で扱えるかを見ます。
商品を見つけてから販売までの順番は、輸入総代理の始め方にもまとめています。メーカーとの交渉やクラファンでの販売まで学びたい方は、僕が運営する講座の案内として、無料セミナーの内容・日程をご覧ください。
まずは、本体と同梱品の型番・仕様書をそろえるところからです。それがあれば、対象判定、必要な試験、費用と日程を、同じ商品について順に確認できます。
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