数年前、Makuakeで「この世界の片隅に」というアニメ映画のクラウドファンディングが短期間で支援が集まりすぎて、支援にストップがかかったことがあります。
これは、追加のリターンが設定しきれなかったためで、後日リターンの追加を行うことでプロジェクトは継続されました。
これは、映画のプロジェクトの例ですが、物販系のクラウドファンディングでも想定以上に支援が集まりすぎることがあります。
もちろん、嬉しい悲鳴ではあるのですが、場合によっては生産が追い付かずにリターン発送時に遅延を招く可能性があります。
そこで、今回は物販クラファンで支援が想定以上に集まりすぎた場合の対策について解説します。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- 物販クラファンで想定以上に支援が集まりすぎた場合の段取りがわかる
- リターン商品発送時の遅延を防ぐことができる
支援が集まりすぎたときのリターン発送遅延5つの対策
早速、支援が集まりすぎたときに、リターン発送の遅延を防ぐ対策をいくつか解説します。
クラウドファンディングでは、スタートダッシュに成功して、プロジェクト初日から予想以上の支援があることは珍しくありません。
過去のプロジェクトでも、こうしたことがたくさんありました。
しかも、初日から予想以上の支援ならば、クラファンサイトのトップページ(ランキングなど)に掲載され、さらに支援が増えていく傾向にあります。
もちろん、これはクラウドファンディングの理想で、嬉しい悲鳴と言えます。
しかし、一方で心配なのはメーカーの在庫です。
想定以上の支援が得られているが、果たして生産は追いつくのか?
極力リターンの発送は遅延が起きないようにするのが理想です。
そこで、事前にリターンの発送遅延を防ぐために、起案者ができることをいくつか解説します。
プロジェクト開始前に納期について確認すること
プロジェクト開始前、メーカーと独占契約する際に確認して必ず取り決める項目には以下のようなものがあります。
- 独占契約期間・支払方法
- 不良品対応(RMA)
- 納期
- 輸送方法、インコタームズ
- 検査費用
- 準拠法や法廷地法
- サンプル品の提供
このなかで、リターン発送の遅延を防ぐために必要なのが、納期です。
- 現在、商品の在庫はあるか?
- 在庫があるならどれくらいか?
- 在庫がないなら生産を開始してからどの程度で納品できるか?
- 発注できるのはいつのタイミングか?(仕入代金の支払い後など)
- リターン商品発送時期はいつ頃がいいのか?
- 生産が遅れた場合はどうするのか?
このようなことを事前に取り決めておくと、プロジェクト開始後に予想以上の支援があった場合でも冷静に対応できます。
途中経過をメーカーに連絡して都度在庫確認する
プロジェクトが始まったら、途中経過をメーカーに連絡して、都度在庫を確認するようにしましょう。
海外メーカーとの契約の場合、ここで、「まあ大丈夫だろう」と考えるのは禁物です。
日本と海外では商習慣の違いがあり、海外メーカーは特に納期や品質に対する意識が低い傾向にあります。
特にプロジェクト開始直後は支援が集まりやすい傾向にあるので、想定以上に支援が集まった場合は途中経過をメーカーに連絡するようにしましょう。
そして、在庫を確認して、もし足りなくなるようであればリターンの設定を追加して、追加生産を依頼する必要があります。
納期は長めで設定する
クラウドファンディングの場合、プロジェクト終了からリターン発送までの期間が多少長くても問題ありません。
クラウドファンディングは、プロジェクトが終わってから生産するということが前提になっているので、支援者も発送まで時間がかかるのは理解しています。
そのため、仕入代金を支払ってからメーカーに発注する手順であれば、リターン発送までの期間を長めに設定しておきましょう。
ただ、メーカーに納期については必ず確認し、正式に発注した後は今どの段階かマメに確認するようにしましょう。
仕入れ代金を早く払うという手もある
場合によっては、プロジェクトが終了する前に、仕入れ代金を早く払って早く発注するという手もあります。
もちろん、支援金の入金前なので、自己資金の用意が必要になりますが、支援金が入金されるまで我慢と割り切るのもありです。
ただ、数百万円単位の仕入れになることが考えられるので、短期融資を得ることも検討しましょう。
もし、クラファン終了後に、一般販売などビジネス展開を考えるならば融資が必要となることが出てきます。
ここで、短期的な融資を受けて融資の実績を作り、今後の長期的な融資に繋げられるというメリットもあります。
在庫リスクがなく、資金力がなくても大丈夫な物販クラファンは、最初は融資を必要としないことが多いです。
しかし、一般販売など今後のビジネス展開を考えたときに、融資の知識やスキルを持っておくと強力な武器になります。
融資についての詳細は、以下の記事をご覧ください。
なお、仕入れ代金を先に支払って発注したあとも、進捗確認はマメに行うようにしてください。
発送代行サービスを利用する
リターン発送までの期間を長く設定した場合でも、リターン商品を仕入れたら速やかに発送した方がいいです。
予想以上に支援が集まりすぎたくらいなので、相当な支援数になっていることが考えられます。
ですので、積極的に発送代行サービスを利用しましょう。
クラファン用の発送代行サービスについての詳細は、以下の記事を参考にしてください。
どうしても発送遅延が起きてしまった場合の対応
上記のような対応をしても、どうしてもリターン商品の発送遅延が起きてしまうこともあります。
その場合は、遅延が発生したことがわかった時点で速やかに支援者に遅延の報告をすれば、信用に関わるほど大きな炎上が起きることはありません。
だからといって、遅延が起きていいわけではありませんが、仮に遅延が起きても誠実な対応をすれば問題ないのでご安心ください。
具体的には、LINEやクラファンサイトの活動報告に、速やかに遅延の報告をして、その後も都度進捗を報告します。
できれば、今後の発送スケジュールなども報告して、今どの段階か知らせるといいでしょう。
ただ、どのくらい遅れるかわからないからといって報告を先延ばしすることは避けてください。
それよりも、現状伝えられる範囲のことをすぐに報告して、詳しいことは分かり次第報告するといった対応をした方がいいです。
トラブルが起きたときは、できる範囲のことを早めに対応した方が支援者の信頼を得やすくなります。
遅れながらも進んでいることがわかれば支援者は安心しますし、誠実な対応をすれば、むしろ応援のコメントを付けてくれます。
このようなトラブルで、どのような対応をしたかで、今後のプロジェクトにも関わってくるので迅速かつ誠実な対応を心がけましょう。
【まとめ】予想以上の支援が来ても慌てずに対応する
以上、クラウドファンディングの支援が集まりすぎた場合の、商品発送遅延を防ぐ対策をお伝えしました。
予想以上に支援が集まりすぎた場合でも、発送遅延のトラブルを防ぐためには、次の点を徹底すれば基本的には大丈夫です。
- プロジェクト開始前にメーカーと納期について取り決める
- 支援数について都度メーカーに連絡して在庫確認をする
- 早く発注する必要が出てきたら短期融資も考える
- 万が一発送遅延が起きても迅速・誠実な進捗報告をすれば問題ない
プロジェクトを起案して、予想以上に支援が集まることは珍しくないので、慌てずに生産時期を確認して対応しましょう。
なお、物販クラウドファンディングのノウハウについては、拙著「物販×クラウドファンディング実践大全」に詳しく掲載しています。
物販系のプロジェクトを立ち上げようという方は、ぜひご覧ください。
また、物販クラファンについては、無料相談を随時受け付けています。興味のある方はお問合せフォームより気軽にご連絡ください。