「物販で起業したいけど、できるかな?」
起業の選択肢のなかから物販を選ぶ人は少なくありません。
むしろ、オンライン起業が浸透したことにより、在宅で完結する物販に興味を持つ人は増え続けている印象があります。
たしかに、今でも物販で稼ぐことはできますが、どんなジャンルを選ぶかが重要です。
特に、ライバルとの価格競争やプラットフォームの規制強化で、昔は稼げたが今では通用しない手法もあるので注意してください。
今回は物販の起業について、ジャンル別の特徴や、準備するものや手順を詳細に解説します。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- 物販で起業するために必要なものがわかる
- ジャンル別で物販の方法が大まかにわかる
- 自分がどんな物販に取り組めばいいかがわかる
本当に稼げる? 物販の主なジャンルと各々の特徴を解説
物販は、「安く買って高く売る」という、昔から存在するビジネスモデルですが、今でも起業して稼ぐことは可能です。
ただ、物販はジャンルによって大きく特徴が変わってくるので、自分の目的に合った手法を選ぶようにしましょう。
物販のジャンルには主に単純転売、メーカー仕入れ、物販クラファンの3種類がある
物販のジャンルは大きく分けると、以下の3つに分かれます。
物販の種類 | 概要 | 例 |
単純転売 | せどり・転売のこと。実店舗やオンラインショップから仕入れて販売する | 電脳せどり、店舗せどり、欧米輸入ビジネス、中国輸入ビジネス、eBay輸出ビジネス |
メーカー仕入れ | メーカーから直接商品を仕入れる | 国内メーカー仕入れ、海外メーカー仕入れ |
物販クラウドファンディング | PRとテスト販売を目的にしてメーカーや自社の新商品をクラファンサイトに出品する | 独占契約、OEMの新商品販売 |
単純転売、メーカー仕入れ、物販クラファンの体験談
おそらく物販でもっとも知られた手法が、実店舗やオンラインショップから仕入れて販売する単純転売、つまりせどり・転売です。
私も過去に単純転売(輸入ビジネス)を実践しており、月利94万円まで稼ぐことができました。
しかし、問題点としてよく指摘されることですが、徐々にライバルの増加による価格競争と単純転売に対する規制強化に悩まされるようになりました。
赤字になるまで値下げして過剰在庫分を売り切り、別の儲かる商品を延々とリサーチしないと収益が安定しなくなりました。
しかも、リサーチに時間を充てないといけないところ、転売規制の強化で利益に直結しない作業にまで時間を取られてしまい、限界を感じました。
その後、メーカーから商品を直接仕入れるメーカー仕入れに舵を切り、試行錯誤しながらメーカーと交渉して取引を成立していきました。
最大で月利200万円ほど得られるようになったのも束の間、ここでもライバルの増加に悩まされます。
ただでさえ、私達と取引してくれえるメーカーは限られているのに、その限られたメーカーに、多くのライバルセラーが一斉に交渉してくるわけです。
しかも、販路は楽天やYahoo!ショッピングなどはなく、なぜかすべてAmazonです。今から考えると、取引を断られたのは当然だと思います。
この状況を打破するための唯一の解決策は、独占契約を結ぶことだけです。
しかし、メーカーの立場で考えれば、独占契約は適正価格を維持しやすいものの、販売を1社に任せることは大きなリスクです。
そこで、メーカーは独占契約を結ぶ代わりに「最低でも○○○万円分は仕入れてすべて販売してくれ」と厳しい最低ロットの条件を出してきます。
メーカーの立場で考えれば、「独占契約で他に商品を卸せないから、君が責任を持って全部販売してくれ」というのも当然です。ただ、相当な資金力がないと厳しいノルマもたくさんありました。
そこで私は、今度は物販クラファンに舵を切りました。
物販クラウドファンディングは、PRとテスト販売を目的に、MakuakeやGREEN FUNDINGなどでプロジェクトを起案して、支援者にリターン商品を提供する手法です。
クラウドファンディングのプロジェクトは、今まで世の中になかった新商品に限定されるので、他のプラットフォームに流通させてはいけません。
そのため、最低でもプロジェクト期間中はメーカーと出品者間で独占契約を結んでおかなくてはいけないのです。
プロジェクトが成功した場合は、メーカーからの信頼を得られるので、一般市場で継続的に販売する際も販売を自分だけに任せてもらえます。
これで、同じ商品を販売するライバルセラーに悩まされることはありません。
日本国内にはなかった新商品を自分主導で販売できることに面白さを感じた私は、これまで100件以上プロジェクトを起案して、現在では総支援額2億円以上を得られるようになりました。
物販ビジネスと儲かるビジネス四原則
堀江貴文氏が話したことで有名な、「儲かるビジネス四原則」というものがあります。
- 極力在庫を持たないこと
- 初期投資額が少ないこと
- 利益率が高いこと
- 毎月の定期収入が見込めること
起業に興味があれば、知っている方も多いでしょう。
堀江氏の儲かるビジネス四原則を物販ビジネスに当てはまると、概ね次の通りです。
単純転売 | メーカー仕入れ | 物販クラファン | |
在庫を持たない | × | × | ○ |
初期投資額が少ない | × | × | ○ |
利益率が高い | △ | △ | ○ |
定期的な収入 | × | △ | ○ |
一つひとつ簡単に解説します。
①極力在庫を持たないこと
②初期投資額が少ないこと
単純転売やメーカー仕入れでは、ある程度仕入れ代金を用意して、在庫を持たないといけません。
多く稼ごうとするほど、多くの仕入れが必要となってしまいます。
商品の注文を受けたあとに商品を仕入れる無在庫転売もありますが、発送遅延が起こりやすく、検品時間がなく不良品が発生しやすい、リスクの大きい手法です。
プラットフォームの規制が厳しく、特にメルカリやラクマ、ヤフオクでは禁止されているので注意してください。
しかし、物販クラファンは支援金を得てから支援者にリターン商品を送ることができるので、実質的な完全無在庫で販売できます。
③利益率が高いこと
せどりは、仕入れ価格、販売価格ともにコントロールできませんし、メーカー仕入れも販売価格を自由に設定できません。
一方、物販クラファンであれば、仕入れ価格、販売価格ともにコントロールできるので、利益率を高めに設定できます。
もちろん、相場観は考える必要がありますが、利益率30~40%程度にすることができます。
④毎月の定期収入が見込めること
せどりでは、ライバルによる価格競争や、仕入れの不安定性から常にリサーチしないといけないので、収入がどうしても安定しません。
メーカー仕入れの場合はメーカーとの取引にはハードルはあるものの、取引が一度成立すれば、定期的に商品を仕入れることができます。
ただ、商品を出品している間もライバルセラーは増えるので、メーカーと交渉して販売者を絞るようにしないと結局収入が続かなくなります。
物販クラファンは、クラファンだけで終われば1度限りの大きな収入を得て終わりですが、その後一般販売して商品が売れれば、継続的な収入になります。
一発ドカンのイメージが強い物販クラファンですが、実は継続的な収入を得てブランド力を上げていくことが本来のゴールです。
単純転売で準備するものと大まかな手順
単純転売で主に準備するものと手順についてお伝えします。
単純転売は、ライバルとの価格競争やプラットフォームの規制強化など、徐々に稼ぐことが難しくなっています。
そのため、起業するとなると限界がすぐに見えてくる方法ですが、最も用意するものが少なく、また即金性も高い手法です。
会社員の給料+αくらいの副業、つまり月5~20万円程度の収入であれば可能でしょう。
単純転売で用意するもの
単純転売では何か特別なものが必要ということはなく、以下のものを用意していれば、すぐに始められます。
- 一般的なノートパソコン(高性能でなくてOK)
- 物販専用の銀行口座
- 物販専用のクレジットカード
これらを用意して、後はプラットフォームの販売用アカウントを開設すれば、すぐに始められます。
管理が複雑にならないように、専用の銀行口座やクレジットカードを作っておきましょう。
単純転売の手順
単純転売については、仕入れ先やプラットフォームの違いによって、若干変わってきますが、概ね次の手順で始めます。
- 物販用の仕入れ代金を用意する
- 上記の必要なものを用意する
- 販路を決める(Amazon、メルカリなど)
- 仕入れ先を決める
- 利益率が出る売れる商品をリサーチする
- 商品を検品して不具合がないことを確認する
- 商品を出品する
- 注文があれば発送する
- ⑤~⑧を繰り返す
単純転売の場合、仕入れ先の選択肢が多数あります。
各々の特徴や注意点を把握して取り組むようにしてください。
主な仕入れ先 | 注意点 | |
国内の電脳せどり | Amazon、メルカリ、ラクマ、ヤフオク、各オンラインショップなど |
|
国内の店舗せどり | ブックオフなどのリサイクルショップ、ドン・キホーテなどのディスカウントストア |
|
欧米輸入転売ビジネス | Amazon.com、eBayなど |
|
中国輸入転売ビジネス | アリババ、タオバオ、AliExpressなど |
|
メーカー仕入れで準備するものと大まかな手順
次に、メーカー仕入れで準備するものと大まかな手順について解説します。
メーカー仕入れの場合は、直接メーカーとメールなどで交渉する必要があります。
メーカー交渉のコツなども身に付けるようにしてください。
メーカー仕入れで用意するもの
メーカー仕入れは、メーカーとの交渉が必要になるので、単寿転売で用意するものに加えて、以下のものを用意するようにしましょう。
- 独自ドメインで開設したメールアドレス(infoメールなど)
- 簡単な事業用ホームページ(海外メーカー仕入れでも日本語でOK)
- 名刺(国内メーカー仕入れのみ)
事業用ホームページは、あるかないかでメーカーの印象が大きく変わりますが、2~5万円程度で外注できる簡単なもので構いません。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
メーカー仕入れの手順
メーカー仕入れの大まかな手順については、以下の通りです。
- 物販用の仕入れ代金を用意する
- 上記の必要なものを用意する
- Amazonの出品アカウントを作る
- Amazonで売れる商品をリサーチする
- 商品を扱うメーカーに取引を打診する
- 仕入れ値や最低ロット数を確認して詰めの交渉を行う
- 取引が成立したら商品を仕入れる
- 商品を出品する
- 注文があれば発送する
- ④~⑨を繰り返す
特に重要となるメーカー仕入れの交渉については、詳しくは以下の記事をご覧ください。
なお、交渉ノウハウは物販クラファンでも活用することができます。
物販クラファンで準備するものと大まかな手順
物販クラファンで準備するものと大まかな手順について解説します。
物販クラファンはやや作業タスクが多く、売上金が入金されるまで時間がかかりますが、先ほどお伝えしたように、メリットが多い手法です。
交渉力や販売力が試されることは一見するとデメリットですが、逆に言えば起業して一生稼ぎ続けるなら必須となるスキルが手に入ります。
物販クラファンで用意するもの
物販クラファンでは、まずはメーカーに独占契約の交渉をする必要があるので、メーカー仕入れ同様に独自ドメインのメールアドレスと事業用ホームページが必要です。
お金をかけて制作する必要はなく、2~5万円で外注できるホームページで問題ないので、次のことは簡単に記載しておきましょう。
会社名か屋号 | 個人事業主は屋号でOK |
設立年月日 | 法人なら会社設立年月日、個人事業主は開業届を出した日 |
事業内容 | 「クラウドファンディングやECサイトを通じたオンライン販促サポート」など。実績を重ねてきたら適宜追記・修正することで、取引できる確率は増えるし、一般販売時の卸取引でも有利。 |
事業理念 | 「○○を通じて○○を実現する」など。一般販売時の卸取引で特に有効となる。初心者の場合は、最初はなくてOK |
代表者氏名、住所 | 自宅兼事務所やバーチャルオフィスでもOK |
お問い合わせフォーム | 受信先は独自ドメインのメールアドレス |
物販クラファンの手順
物販クラファンの手順は、以下のように単純転売やメーカー仕入れとはかなり違うタスクになります。
- 上記の必要なものを準備する
- 海外クラファンサイトなどでヒットしそうな新商品をリサーチする
- 日本でも売れそうな商品を見つけたら海外メーカーに連絡して交渉を開始する
- 取引内容が合意したら独占契約を交わす
- 利益計算してリターンを設定する
- MakuakeやGREEN FUNDINGなどクラファンサイトに申請する
- リターン商品が欲しくなるようなLPを作成する
- プロジェクト開始前に事前集客で見込み客を集める
- プロジェクトが開始したらSNS広告、プレスリリースなどで露出を上げる
- プロジェクト終了後にリターンを滞りなく発送する
- クラファンおかわりをして支援を最大化する
- 一般販売で継続的な収入を得る
- ②~⑬を繰り返して自社ブランドを上げていく
上記の具体的な手順については、以下の記事をご覧ください。
【まとめ】物販で起業して稼ぐことは可能
以上、以下の点でお伝えしました。
- 物販で起業して稼ぐことはできるのか?
- 物販にはどんな種類があって、どんな特徴があるのか?
- 物販で起業するには、どんなものを用意すればいいのか?
- どんな手順で進めていけばいいのか?
結論から言うと、物販で稼ぐことは可能ですが、ご自身に合った物販を選ぶことが大切です。
「とりあえずすぐに稼ぎたい」「起業というより、会社員+α程度の収入が欲しい」ということであれば、単純転売の方が合っているかもしれません。
一方で「起業して長期的に稼ぎ続けたい」「社会的に信用が高いビジネスがしたい」ということであれば物販クラファンの方が向いています。
物販クラウドファンディングの手順や具体的なノウハウは、拙著「物販×クラウドファンディング実践大全」に詳しく解説しています。
クラウドファンディングの流れに沿ってまとめているので、実践しながら辞書的に活用することも可能です。
また、物販クラファンについては、無料相談を随時受け付けています。興味のある方はお問合せフォームより気軽にご連絡ください。