輸入品の関税は、原則として商品代金に日本の輸入港までの運賃・保険料などを加えた課税価格に、商品の関税率を掛けて計算します。輸入消費税は、その課税価格に関税額などを加えた金額にかかります。仕入れを判断する時は、税金の計算を済ませた後、日本の倉庫までに払う費用も足して採算を見ます。
海外の商品を事業として輸入し、クラファンや一般販売をする人向けの計算手順です。
| 順番 | 計算・確認するもの | 使う情報 |
|---|---|---|
| 課税価格を出す | 商品代金、運賃、保険料、必要な加算要素 | インボイス、運賃の見積もり、取引条件 |
| 税率を調べる | 品目分類と適用できる関税率 | 材質、用途、構造、原産国 |
| 関税を計算する | 課税価格×関税率 | 従価税の対象品を想定 |
| 輸入消費税を計算する | 関税などを加えた課税標準から算出 | 標準・軽減税率、地方消費税、端数処理 |
| 日本倉庫着の金額にする | 税金に、通関や国内輸送などの費用を足す | 輸送業者の見積もり・請求書 |
以下の基本式は、価格に税率を掛ける「従価税」の商品を想定しています。数量に応じる税率や別の内国消費税がある商品は、同じ式だけでは計算できません。(2026-10時点・税関の税額計算方法)
1. 関税の課税価格は、仕入れ代金だけで計算しない
関税の計算では、メーカーに支払う商品代金だけでなく、日本の輸入港に到着するまでの運賃・保険料なども確認します。よくCIF価格と呼ばれる金額ですが、取引条件によって、商品代金にすでに含まれている費用が違います。
基本は、実際に支払った、または支払うべき価格に、まだ含まれていない加算要素を足す方法です。輸送費を別に払ったなら加算を検討し、代金に含まれているものをもう一度足さないようにします。(2026-10時点・税関「原則的な課税価格の決定方法」)
| 項目 | 確認の仕方 |
|---|---|
| 商品代金 | 単価×数量だけでなく、実際の取引で支払う内容を確認する |
| 輸入港までの運賃 | どこからどこまでの運賃か、商品代金に含まれるかを見る |
| 保険料 | 別払いか、運賃・代金に含まれるかを確認する |
| その他の加算要素 | 容器・包装費、無償提供した金型など、取引に応じて確認する |
| 輸入後の国内費用 | 輸入港までの費用と分け、金額と内容を通関業者へ伝える |
例えば、工場から日本の倉庫まで一括で見積もりが出ている場合、その全額を何となく国際送料として扱わないことです。輸入港までの運賃、日本国内の配送、通関に関する料金など、計算に使う区分を業者に確認します。
関税を出すための課税価格と、自分が仕入れで払う総額は用途が違います。課税価格に入らない費用でも、支払うなら利益計算から外してよいわけではありません。
外貨の金額は円に換算しますが、申告に使うのは税関が公示する換算レートです。メーカーへの送金時のレートと一致するとは限りません。(2026-10時点・税関「価格の換算に用いる外国為替相場」)
見積もりの段階では想定レートを明記し、実際の輸入時には申告日の適用レートで計算し直します。最初から円で受け取った見積もりでも、為替の変動で変わる条件になっていないか確認してください。
2. 関税率は、材質・用途・原産国をそろえて税率表で調べる
関税率は、商品名が似ているだけでは決まりません。材質、用途、構造などから品目を分類し、原産国や協定の適用条件も確認して税率を選びます。
まずメーカーから仕様書をもらい、税関の実行関税率表で該当する品目を探します。税率表は改正に合わせて版が更新されるので、輸入する時には、その時点で適用される版を使います。(2026-10時点・税関の実行関税率表)
| メーカーに聞く情報 | 税率を調べる時に使う理由 |
|---|---|
| 主な材質と構成 | 外観が同じでも分類が変わる場合がある |
| 用途・使い方 | 何のために使う製品かを説明する |
| 構造・機能 | 複合機能の商品やセット品の分類を確認する |
| 原産国 | 一般の税率やEPAなどの適用を調べる |
| メーカーが使うHSコード | 分類を調べる手掛かりにする |
HSコードは国際的な品目分類の仕組みですが、メーカーから届いたコードをそのまま日本の申告番号として確定しない方がいいです。日本の輸入統計品目番号と、該当する品目の説明まで確認します。(2026-10時点・税関「品目分類とHS」)
税率表には、基本税率、WTO協定税率、特恵税率、EPAの税率など、複数の欄があります。一番低い数字を自由に選ぶものではありません。どの国の原産品で、適用条件を満たしているかを確認して選びます。
分類が曖昧なまま仕入れ額が大きくなるなら、通関業者への相談に加え、税関の事前教示制度の利用も検討します。商品名だけで問い合わせず、写真・仕様・材質・用途をまとめて伝えると、何が未確認なのか整理できます。(2026-10時点・税関の事前教示制度の案内)
商品候補を比べる時は、税率と一緒に、調べた日と分類の根拠も残しておきます。後で材質や仕様が変わった時に、前の税率を使い続けてよいか見直せるようにするためです。
3. 輸入消費税は、課税価格に関税を足して計算する
関税を出したら、その額を課税価格に足して輸入消費税を計算します。商品代金だけに消費税率を掛けたり、関税と消費税を別々に同じ課税価格へ掛けたりすると、金額がずれます。
標準税率の対象で、酒税など他の内国消費税がない商品なら、見積もり用の基本式は次のとおりです。ここでは端数処理を省き、国税の消費税と地方消費税を合わせて10%として概算します。
| 計算するもの | 概算の式 |
|---|---|
| 関税 | 課税価格×関税率 |
| 輸入消費税・地方消費税の合計 | (課税価格+関税)×10% |
| 輸入時の税金の合計 | 関税+輸入消費税・地方消費税 |
実際の申告では、標準税率は国税の消費税7.8%と地方消費税分に分け、地方消費税は国税の消費税額に22/78を掛けて算出します。軽減税率の対象品は合計8%で、国税6.24%と地方消費税分に分かれます。(2026-10時点・税関の税額計算方法と税率)
関税が無税の商品でも、それだけで輸入消費税まで免税になるわけではありません。関税率が0%と分かった段階で税金の欄を空欄にせず、消費税の課税・免税を別に確認します。
また、税率表で1kg当たりなどの税率が指定される商品は、上の従価税の式を使えません。商品の分類を先に調べるのは、税率の数字だけでなく、何に掛ける税率なのかを確定するためでもあります。
4. 関税5%と無税の輸入を、同じ課税価格で比べる
課税価格が同じでも、関税の有無によって消費税まで変わります。次は計算の仕組みを見るための仮定例で、特定商品の税率や、僕の輸入実績を示す数字ではありません。
商品代金100万円、輸入港までの運賃19万円、保険料1万円、その他の加算要素なしで、課税価格を120万円とします。標準税率対象・他の内国消費税なしとし、まずは端数処理を省いて比べます。
| 計算項目 | 例A:関税率を5%と仮定 | 例B:関税が無税と仮定 |
|---|---|---|
| 商品代金 | 1,000,000円 | 1,000,000円 |
| 輸入港までの運賃 | 190,000円 | 190,000円 |
| 保険料 | 10,000円 | 10,000円 |
| 課税価格 | 1,200,000円 | 1,200,000円 |
| 関税 | 60,000円 | 0円 |
| 消費税を計算するもとの額 | 1,260,000円 | 1,200,000円 |
| 輸入消費税・地方消費税の概算 | 126,000円 | 120,000円 |
| 税金の合計の概算 | 186,000円 | 120,000円 |
| 課税価格+税金の概算 | 1,386,000円 | 1,320,000円 |
関税の差は6万円ですが、税金の合計では6万6,000円の差になります。例Aでは、関税6万円にも消費税がかかるためです。
この段階でも、日本の倉庫までの金額はまだ出ていません。国内配送や通関業者への料金などが別払いなら、最後の行にそれらを足します。代金や運賃の中ですでに払っているものは、二重に足さないようにしてください。
実際の納付額では、国税・地方税と端数処理を分ける
上の例Aを、1つの税番・1申告という単純な条件で端数処理まで計算すると、次のようになります。申告内容が複数に分かれる場合は、税関の合算方法も確認が必要です。
| 項目 | 計算 | この例の金額 |
|---|---|---|
| 関税 | 1,200,000円×5%。税額の100円未満を切捨て | 60,000円 |
| 消費税の課税標準 | 1,200,000円+60,000円。1,000円未満を切捨て | 1,260,000円 |
| 国税の消費税 | 1,260,000円×7.8%=98,280円。100円未満を切捨て | 98,200円 |
| 地方消費税 | 98,200円×22/78。納付額の100円未満を切捨て | 27,600円 |
| 税金の合計 | 60,000円+98,200円+27,600円 | 185,800円 |
例Bは国税の消費税が93,600円、地方消費税が26,400円となり、この条件では合計120,000円です。例Aは概算との差が200円ですが、ほかの商品でも差が200円になるという意味ではありません。
関税の課税標準にも1,000円未満の切捨てがあり、消費税の計算では端数処理前の課税価格に関税額などを加えます。細部を確認する時は、税関の計算例と申告内容を合わせて見てください。(2026-10時点・税関の計算例PDF)
5. 少額の輸入は、簡易税率と免税を別々に確認する
少額の輸入では、通常の関税率と異なる扱いがあります。ただし、少額だから税金が全部なくなるわけではなく、簡易税率と免税では条件も結果も違います。
| 制度 | 金額の基準 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 少額輸入貨物の簡易税率 | 課税価格の合計が20万円以下 | 対象外の品目がある。消費税・地方消費税は別に計算する |
| 少額貨物の免税 | 課税価格の合計が1万円以下 | 関税・消費税の免税に例外品目がある |
| 個人使用貨物の扱い | 個人的に使用する貨物かどうか | 販売目的の仕入れと同じ扱いにしない |
20万円以下の簡易税率には適用除外があり、輸入者が貨物全部について一般の税率を希望する場合の取扱いもあります。少額のサンプル輸入の結果だけで、量産品をまとめて輸入する時の税率を決めないでください。(2026-10時点・税関「総額20万円以下の貨物の簡易税率」)
1万円以下の免税も、革製品や編物製衣類など、適用されないものがあります。また、同じインボイスの貨物を分けて申告した場合は、そのインボイスにある貨物全体で判定します。荷物を小分けにすれば個別に免税になる、とは考えないことです。(2026-10時点・税関「1万円以下の物品の免税」)
個人事業主が輸入することと、自分で使うために個人輸入することも違います。販売用の商品を仕入れる計算に、個人使用の買い物向けの説明を当てはめないでください。
6. EPA・特恵税率は、原産地の条件と書類まで確認して使う
EPAや特恵制度によって、通常より関税が低くなったり、無税になったりする場合があります。対象国から発送されたというだけでは決まらず、品目と原産地の条件を満たすかを調べます。
ここでいう原産国は、メーカーの本社がある国や荷物を発送する国と同じとは限りません。どこで、どのように作られた商品なのかを確認し、利用する協定の原産地規則に当てます。
| 確認の順番 | 確かめること |
|---|---|
| 品目と原産国を決める | 税率表のどの品目で、どこの原産品になるか |
| 利用する制度を調べる | EPAや特恵の対象か。通常の税率と比べてどうなるか |
| 原産地規則を確認する | その制度が定める原産品の条件を満たすか |
| 書類と輸送条件を確認する | 必要な原産地証明・申告書類、第三国を経由する場合の資料 |
| 輸入申告の準備をする | メーカー・通関業者と、どの制度で申告するか共有する |
EPAで必要な書類は、協定や証明方法によって異なります。原産地証明書が必要な場合も、自己申告の書類を使う場合もあるので、メーカーへ一律に同じ書類を頼まず、利用する制度を決めてから準備します。(2026-10時点・税関のEPA情報、EPA適用時の必要書類)
一般特恵制度も、EPAと同じ制度ではありません。対象国・品目・原産地などの条件をそれぞれ確認します。(2026-10時点・税関の一般特恵対象品目の案内)まだ使えるか分からない段階なら、利益計算は通常の適用税率でも成り立つかを見ておくと、書類がそろわなかった時の差を把握できます。
仕入れ先を比べる際には、商品単価だけでなく、適用できる税率までそろえて比較します。ただし、税額が下がる期待だけで契約せず、その条件で申告できる根拠を用意できるかまで確認してください。
7. 関税の概算を出したら、日本倉庫着の総支出で採算を見る
仕入れ判断に使うのは、メーカーの卸値だけではありません。商品代金、運賃、税金、倉庫へ届くまでの諸費用をそろえてから、販売価格と比べます。
僕は利益予測の段階で、すべてを細かく確定するより、費用を少なく見積もらずに判断を進める考え方を取っています。ただし、商品ごとの関税率を調べないまま、同じ割合をどの商品にも掛けてよいという意味ではありません。
例えば先ほどの例Aでは、課税価格120万円の15%は18万円ですが、税金の概算は18万6,000円でした。仮に一律15%で置くと、この条件だけでも不足します。概算を使う場合も、対象品の税率から計算する手順は残します。
| 日本倉庫着までの確認欄 | 二重計上・不足を防ぐ確認 |
|---|---|
| 商品代金 | 請求された数量と単価が合っているか |
| 国際運賃・保険料 | 商品代金に含まれる分を重ねていないか |
| 関税 | 原産国・分類・制度の条件が確定しているか |
| 輸入消費税・地方消費税 | 関税を加えた額から計算しているか |
| 通関・立替などの料金 | 税金そのものと、業者への料金を分けているか |
| 国内の配送・倉庫への搬入 | どこまでが輸送見積もりに入っているか |
ここでの総支出は、仕入れ時に必要なお金を把握するためのものです。輸入消費税を含む支払いの額と、会計上の費用・仕入税額控除の扱いは別に確認し、利益表でも税込・税抜の前提をそろえてください。
国際輸送を依頼する時は、DHL・FedExの使い分けも確認できます。通関を任せる場合も、自分の計算表には税金と業者の料金を別々に残しておくと、見積もりとの差が分かります。
インボイスの金額が実際の取引より低くなっていたら、そのまま税額の計算に使わず、メーカーと通関業者へ確認します。安く書いてあるから得だと扱わず、アンダーバリューの問題も確認してください。
輸送費と税金を払った後に利益を残すには、仕入れ条件と売り方も一緒に考える必要があります。僕が運営する講座の案内として、輸入総代理とクラファンの進め方を学ぶ無料セミナーの内容・日程を用意しています。
まずは候補商品の仕様書と運賃見積もりをそろえ、課税価格、適用する税率、日本倉庫着までの諸費用を一つの表に入れてください。未確定の項目を明記しておけば、仕入れ前に誰へ何を確認すればよいかも分かります。
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