インターネットを使って在宅でも抵抗なく資金を調達できるクラウドファンディングが浸透してきました。
クラウドファンディングには大きく分けて購入型クラファン、寄付型クラファン、金融型クラファンに分けられます。
各々特徴やメリット・デメリットが大きく違うので、対象となる起案者が大きく変わってきます。
クラウドファンディングの種類 | 主な起案者 |
購入型クラウドファンディング | 新商品・サービスのPRとテストマーケティングを行う人 |
寄付型クラウドファンディング | 商品・サービスの提供(リターン)の提供なく寄付を募る人 |
金融型クラウドファンディング | 事業を行うために、投資家を募って資金調達する人 |
そこで、今回はクラウドファンディング初心者に向けて、種類別にクラウドファンディングのメリット・デメリットをお伝えします。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- クラウドファンディングの基礎知識が理解できる
- 各々のクラウドファンディングの特徴やメリット、デメリットを理解できる
購入型クラウドファンディングのメリット・デメリット
購入型クラウドファンディングは、上図のように新商品・サービスをリターンとして提供する代わりに支援金を受け取る方法です。
クラウドファンディングというと、購入型クラウドファンディングをイメージする方が多いのではないでしょうか?
購入型クラウドファンディングは、以下のような新商品・サービスのPRとテストマーケティングが目的です。
- 一般市場に流通していない新商品
- 日本未上陸の輸入商品
- 飲食店のクラウドファンディング限定メニュー
- まだ公開していないコンサートや演劇、映画などのチケット etc・・・・・・
クラファンサイトのルールで、すでに一般市場に流通している既製品はリターンにできません。
また、Makuakeなどは審査が厳しく、新商品であっても、すでに流通している商品に酷似しており、新規性がない場合はNGとされることがあります。
なお、購入型クラウドファンディングでよく利用されるクラファンサイトは以下の通りです。
- Makuake
- GREEN FUNDING
- CAMPFIRE
- machi-ya
特に物販クラウドファンディングのメリット・デメリットについては、以下の記事も参考にしてください。
【メリット①】在庫リスクなく新商品を出品できる
購入型クラウドファンディングの一番のメリットは、支援金が入金されてからリターン商品を提供するので在庫リスクを抑えられることです。
Amazon、楽天といった一般市場では出品前に仕入れをする必要があり、在庫リスクが発生します。
しかも、過去の売れ行きを計測できない新商品ほど、不良在庫のリスクが高くなります。
このため、購入型クラウドファンディングが浸透する前は、新商品開発や輸入商品の販売に二の足を踏んでしまうことも少なくありませんでした。
資金力に不安のある起案者でも、新商品販売に果敢に挑戦しやすい点は大きなメリットと言えます。
【メリット②】PRとテストマーケティングが両方できる
購入型クラウドファンディングでは、在庫リスクゼロでPRとテストマーケティングができます。
集まった支援金の分だけリターンを提供すればいいので、売れても売れなくても基本は困りません。
そのため、「どれくらい売れるのかな?」とテストマーケティングがしやすいです。
そして、テストマーケティングしながら商品のPRもできてしまいます。
実際にクラファン終了後に一般販売して継続に売れたり、卸取引ができたりすることも珍しくありません。
もし失敗しても懐が痛まないので、潔くクラファン限りで撤退することもできます。
【メリット③】理不尽な返品・返金対応に追われなくていい
多くのクラファンサイトは、特別な理由なく支援者が返金を求めることはできません。
そのため、一般販売でありがちな「間違って注文した」「思っていた商品と違う」など理不尽な返品・返金対応に追われることがなくなります。
もちろん、何らかの事情でリターンが提供できない場合は返金対応が必要になりますが、支援者都合で返金に追われることはないので安心です。
【デメリット①】資金調達まで時間がかかる
購入型クラウドファンディングは、資金調達までに時間がかかります。
プロジェクトの期間はだいたい1~2ヶ月、準備期間も含めれば3~4ヶ月程度かかります。
一般市場で販売するよりも、入金サイクルがかなり遅いことは念頭に置いておきましょう。
【デメリット②】プロジェクト内容の変更や中止ができない
購入型に限った話ではないですが、クラウドファンディングは、プロジェクトが始まると途中で変更したり中止したりすることができません。
変更や中止ができない理由は、変更前後で支援者に対して不公平が出てきてしまい、信頼を失ってしまう可能性があるためです。
プロジェクトを立ち上げる前に、LPの内容やリターンの設定はよく検討しておく必要があります。
寄付型クラウドファンディングのメリット・デメリット
寄付型クラウドファンディングは、金銭的な寄付を行うことが目的であるため、原則リターンがありません。
リターンがあったとしても、お礼の手紙や関連グッズなど気持ち程度のリターンであることがほとんどです。
そのため、NPO法人や大学などの研究機関、地方の地域活性化など、公益性の高いプロジェクトが多いです。
寄付型クラウドファンディングに適したクラファンサイトは以下の通りです。
- READYFOR
- good morning
- CAMPFIRE
- A-port
【メリット①】一般的な寄付より多くの人の目に留まりやすい
クラファンサイトは、多くの人が利用するプラットフォームです。
認知度の高い団体の公式サイトであれば話は別ですが、基本的にプラットフォームを活用した方が多くの人の目に留まります。
しかも日本のクラウドファンディングは、2011年の東日本大震災の支援金を目的とした寄付型クラファンをきっかけに広まった経緯があります。
そのため、寄付型クラウドファンディングは日本では比較的認知されている方法です。
比較的大きな団体が寄付型のプロジェクトを立ち上げていることを考えると、クラファンサイトの活用はかなり有効と考えていいでしょう。
【メリット②】ネット上で寄付活動が完結する
寄付というと、今でも実際に駅前まで足を運んで募金活動する街頭募金のイメージがあります。
しかし、クラウドファンディングを活用することで、インターネット上で気軽に寄付活動をすることができるので、活動の負担が減ります。
その代わり、ネット上でしっかりと「このプロジェクトは絶対に実現してほしい」と思ってもらうことが必要です。
具体的には、LPなどでしっかりとプロジェクトの社会貢献性を伝えることが大切になります。
【メリット③】起案者、支援者ともに税制上の優遇措置がある
クラウドファンディングは、購入型、寄付型、金融型で確定申告の方法がまったく違います。
※詳細は以下の記事をご覧ください。
寄付型クラウドファンディングの場合は、集まった支援金を寄附金として処理するため、以下のような税金がかかります。
起案者 | 支援者 | 税金 | 控除 |
個人 | 個人 | 贈与税 | 年間110万円まで非課税 |
個人 | 法人 | 所得税(一時所得) | 年間最高50万円まで非課税 |
法人 | ― | 法人税 | ― |
特に、起案者、支援者ともに個人の場合は、年間110万円まで非課税となるので、税制上比較的優遇されます。
また、寄附金の場合は消費税がかからない点もメリットと言えます。
支援者は、支援額に応じて寄附金控除を受けることができるメリットがあるので、支援する動機にもなります。
【デメリット①】リターンがないので支援が集まりにくい
寄付型クラウドファンディングは、支援金と同等の価値を持つリターンがないので、購入型に比べると支援が集まりません。
特に、日本は欧米諸国に比べると寄付に対する意識が低いと言われています。
そのため、支援者が強く応援したい、自分も関わりたいと思える社会貢献性の高いプロジェクトでなければ、成功は難しいでしょう。
【デメリット②】資金の使い道や活動状況が曖昧では炎上する
購入型クラファンでも、リターン提供時のトラブルなどで炎上はよく起こりますが、寄付型クラファンでも炎上には要注意です。
特に寄付型クラファンは、リターンという形のあるモノを提供するわけではないので、資金の使い道や活動状況がわかりにくいです。
極端な例ですが、「○○な人を救いたい」などプロジェクト内容に共感して支援したのに、起案者が支援金で豪遊していれば誰でも怒ります。
もちろん、詐欺の意図がなくても資金の使い道や活動状況をこまめに報告せず、曖昧なままでは炎上する可能性があるので注意してください。
金融型クラウドファンディングのメリット・デメリット
購入型クラファンと、寄付型クラファンは、大きく括ると非投資型と言われていますが、対して金融型クラファンは投資型のクラウドファンディングです。
そのため、金融型クラウドファンディングは、購入型や寄付型とは大きく毛色が変わります。
金融型クラファンをさらに細分化すると、おもに次のような種類があります。
融資型 | 支援金を貸し付ける形態なので返済義務がある。金融機関からの融資が難しい場合に利用される。利子を支払う必要がある |
ファンド型 | 個人の投資家に支援者になってもらい、出資を募る形態。配当金を支払う必要がある |
株式型 | 非上場企業の株式をリターンとして提供する形態。配当金を支払う必要がある |
不動産投資型 | 複数の支援者から資金を集めて、不動産を購入して運営する形態 |
金融型のプロジェクトを立ち上げる際は、以下のような金融型クラウドファンディングに特化したクラファンサイトを利用します。
- クラウドバンク
- Bankers
- Funds
- SBIソーシャルレンディング
- FUNDINNO
- RENOSYクラウドファンディング
【メリット①】支援者の金銭的なメリットが大きく支援を集めやすい
金融型クラウドファンディングは、購入型のようにモノをリターンとするのではなく、金銭そのものがリターンとなります。
融資型であれば貸付金利、ファンド型や株式型であれば分配金で、支援者にとって資産運用の一種として捉えてもらえます。
リターンがわかりやすく、実現可能性の高いプロジェクトであれば支援を集めやすいところがあります。
【メリット②】宣伝効果やファン作りにも活用できる
金型クラウドファンディングでは、融資や出資を募ると同時に、宣伝効果やファン作りにも活用できます。
購入型クラウドファンディングが、テストマーケティングと同時に商品のPRに役立つことと同様に、金融型でも事業の認知拡大に役立ちます。
金融機関からの融資や、事業者から出資してもらうことはできても、PR活動は別途行わなければいけません。
一方で金融型クラファンは支援を集めると同様に、プロジェクトのPRもできるので一石二鳥です。
【デメリット①】支援者にとってリスクが大きいので支援を躊躇されやすい
金融型クラウドファンディングは、当然ながら支援者にとって金銭的なリスクが大きくなります。
融資型では返済不能になるリスクがありますし、ファンド型や株式型では、元本割れするかもしれません。
そのため、プロジェクトの想いを熱く語るだけでなく、実現可能性を十分に伝えておかないと支援が集まらない可能性があります。
【デメリット②】融資型は担保を求められるうえに金利の負担が大きい
融資型クラウドファンディングは、公庫や信金などから直接融資を受けるよりも高い金利が発生するので、金利負担が大きくなります。
また、支援者からリスクを抑えるために担保を要求されることがあります。
公庫では無担保・無保証の融資制度があることを考えると大きなデメリットと言えます。
税理士などに相談して公庫や信金から融資を受けることも検討しておくといいでしょう。
【デメリット③】ファンド型や株式型は信用を大きく失う可能性がある
返済義務が発生する融資型クラファンと違い、ファンド型や株式型は返済義務が発生しません。
そのため、一定期間内に成果が出なければ、支援者からの信用を一斉に失うことになります。
【まとめ】これまでの資金調達にない魅力があるクラウドファンディングを利用しよう
以上、種類別にクラウドファンディングのメリット・デメリットをお伝えしました。
ここまでお伝えしたように、購入型、寄付型、金融型では利用意図が大きく変わります。
目的に応じてクラウドファンディングを活用するようにしましょう。
ただ、いずれにしても、PRやファン作りにも役立つなど、これまでの資金調達にはなかったメリットがあります。
資金調達の選択肢としてクラウドファンディングを含めるようにすると、ビジネスが大きく進むことがあるかもしれません。
なお、拙著「物販×クラウドファンディング実践大全」では、購入型クラファンのなかでも物販系に特化して詳細にノウハウをお伝えしています。
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