クラウドファンディングは、それ自体で終わりではなく、一般販売で本格的に商品を広めて利益を拡大することに醍醐味があります。
クラファン後の一般販売の方法としては、大きく分けて店舗に卸販売、Amazonや楽天などの大手プラットフォームへの展開、自社ECサイト(BASE、Shopifyなど)で販売の3つに分けられます。
本記事では、このなかでも卸販売について解説します。
卸販売については、クラファン中に引き合いが来ることがありますし、クラファン終了後に卸の営業をして取引が成立することがあります。
場合によっては数千万円規模の取引になるので、卸販売は物販事業者には夢があるビジネス展開です。
しかし、時には不利な条件で取引してしまうトラブルもありますので、慎重に確認するようにしましょう。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- クラファン終了後の卸販売の概要がわかる
- 卸の引き合いがあった場合の注意点がわかる
- 卸販売を自分から営業する場合の重要ポイントがわかる
卸の引き合いがあった場合の注意点
物販事業者にとって自分が扱っている商品を店舗に卸すことができるというのは夢のような話かもしれませんが、クラファンでは簡単に実現します。
実際にクラファンの支援額の大小に関わらず、卸の引き合いがあることはありますし、しかも1~2件ではありません。
また、クラファンで支援が思うように得られなくても一般販売では売れることはあるので、専門の店舗や卸業者などから引き合いが来ることは十分考えられます。
ただ、引き合いで注意したいのは、商品を卸す際の掛け率以外でかかる費用はないかという点です。
他に広告費などが上乗せされている場合は、費用にもよりますが赤字のリスクが伴うので基本的には取引を断ってもいいでしょう。
卸の引き合いは何社も来ることがありますし、後述するように自分から営業・交渉してもいいので、条件次第では見送ることも必要です。
なお少し話がそれますが、卸の引き合いの他にクラファン中によく連絡が来るのが、雑誌等の広告掲載依頼です。
メディア掲載は、自分から雑誌やテレビ局に投げ込みするか、PR TIMESや@pressなどプレスリリース配信代行サービスを利用することが大半です。
しかし、逆にメディアの方から売り込まれた広告は、クラファン商品に限ってはほとんど効果がないので見送りましょう。
卸の引き合いもメディアの掲載依頼も、通常の物販では経験できないことなので、最初は興味が湧くかもしれませんが慎重に対応してください。
実店舗や卸業者に営業する場合の重要ポイント
卸の引き合いを待つだけでなく、自分から実店舗や卸業者に営業してみるのもいいでしょう。
「そんなことできるの?」と思う方もいるかもしれませんが、クラファンで出品した商品は実績を見せることで興味を持ってもらえる可能性が高いです。
実店舗や卸業者の見つけ方
実店舗や卸業者を探すポイントとしては、自分がクラファンで出品した商品のカテゴリーを扱っている専門店を探すといいです。
もちろん、有名な大手店舗に連絡してみるのもいいのですが、商品によっては専門店の方が対象となる消費者を呼びやすく売れやすいこともあります。
例えば、卸業者は「卸 ○○(商品カテゴリー名)」でGoogle検索してみてください。
様々な専門の卸業者が見つかるでしょう。
また、Amazonや楽天、Yahoo!ショッピングでいくつも商品を出している出品者を探すと良い卸業者が見つかることもあるので連絡してみてください。
卸の営業時に店舗や卸業者に見せるもの
自分から卸販売の営業をする場合は、まずはクラファンの商品ページで実績を見せるのが一番早いです。支援の実績と、商品の魅力を両方伝えるようにしましょう。
また、メーカーとの交渉用に作成したコーポレートサイト(HP)も活用できます。
どんな想いで物販に取り組んでいるのか、商品の魅力の他、物販事業者について伝えることができます。
日本の店舗や卸業者の場合、アプローチしてきた人が何者かということはチェックされます。
そのため簡単でいいので、以下のことはHPに掲載するようにしましょう。
- 会社名(個人事業主であれば屋号)
- 設立年月日
- 事業内容
- 起案したプロジェクトの実績
- 事業理念
- 代表者氏名、所在地
- 電話番号、メールアドレス
卸販売で知っておきたい用語
転売やメーカー仕入れの場合、物販事業者は小売業の立場で、仕入れた商品を消費者へ販売します。
クラファンへ出品する際も、メーカーから商品を仕入れて消費者に販売するので、小売業の立場になります。
一方、卸販売の定義は、商品を実店舗や卸業者に卸すビジネスになるので小売業とは反対の立場になります。
取引で使う専門用語は、卸だろうが小売だろうが基本は変わらないのですが、立場が反対になるので混乱しないように、ここで整理しておきましょう。
卸値
メーカーから卸業者へ商品を販売する場合、もしくは卸業者から小売業へ販売する場合の価格を言います。
仕入れ値
卸値の逆で、卸業者からメーカーから商品を購入する場合、もしくは小売業が卸売業者から商品を購入する場合を言います。
もちろん、言葉の定義上は立場が反対というだけなので、金額は「卸値=仕入れ値」になります。
売値
小売業が消費者へ商品を販売する場合の価格で、要は店舗の販売価格になります。
卸販売の場合、この売値の自由度が低いところがあり、もし自社独自でネット販売も同時に行っている場合は、価格を合わせないといけません。
上代・下代
設定している定価を「上代」と呼び、小売希望価格と同じ意味になります。
対して、卸値や仕入れ値のことを「下代」と呼びます。
掛け率
売値に対する卸値の割合のことを指します。
例えば売値、つまり販売価格30,000円で掛け率50%であれば、卸値は15,000円です。
よく5掛け、6掛けという言葉がありますが、例えば6掛けの場合、定価の6割で仕入れができるということになります。
卸販売の掛け率と卸業者と取引するメリット
卸販売の掛け率は卸業者を通さずに直接実店舗に卸す場合は50~65%、卸業者を通す場合は45~60%が目安となります。
そのため、卸販売する際の利益率は20%程度になることが多いですが、一度に取引する数が大きいので、1,000万円以上の売上になることもあります。
とはいえ、どうしても利益率が低くて利益が出ないような場合は、取引を見送ることも検討が必要です。
また、卸業者を通す場合は当然掛け率が低くなりますが、卸業者と取引するメリットがあります。
1つは双方向での取引が可能で、卸業者からメーカー商品を仕入れることもできる点です。
もう1つは、卸業者の場合は販路が広げてくれる可能性があり、しかもワンストップで行えるのも大きなメリットです。
直接店舗と複数取引すると、各々でルールが違うので管理が煩雑になることがあります。
また、新商品に対するプロの意見を聞くことができるので、今後のビジネス展開で大いに参考になります。
そのため、単純に利益率だけで見るのではなく、卸業者のメリットも含めて総合的に検討するといいでしょう。
卸販売の実績で次回クラファン時も有利に働く
卸販売は、取引する生産メーカーから見たら大きな実績になります。
メーカーはクラファン単発ではなく、一般販売できる人と取引したいと考えるので、新規のメーカーにアプローチする際に有利な交渉材料になります。
これは国内メーカーも海外メーカーも共通に言えることです。
また、既に取引しているメーカーに対しては、一般販売まで達成したことで信頼を得られるので、取引を続けることができるでしょう。
メーカーとの取引を重ねながらブランディングすることで、クラファンでも一般販売でも有利に進めることができます。
【まとめ】場合によっては有名店舗に卸販売もできる
以上、クラファン終了後に商品を卸販売する際の重要ポイントと注意点についてお伝えしました。
卸販売は、それ自体で大きな売上を作ることができますし、取引先メーカーとの長期的な取引や新規メーカーへのアプローチでも有利になります。
また、場合によっては有名店舗に卸販売することも可能なので、クラファン単体だけではなく、次の展開も見据えてプロジェクトを進めましょう。
なお、メーカーとの詰めの交渉と同様に、卸販売でも店舗や卸業者と確認しておくべき内容がいくつかあります。
時には契約書を交わすこともありますが、交わさない場合でもよく確認してトラブルがないようにしましょう。
そして、卸取引の良いパートナーとして長く付き合えるような関係を築いていってください。
詳しいことは、以下の記事をご覧ください。
なお、物販クラファンについては、無料相談を随時受け付けています。クラファン終了後の一般販売を含めて、興味のある方はお問合せフォームより気軽にご連絡ください。