「資金調達するにはクラウドファンディングがいいと聞くけど、実際にどうなの?」
金融機関の融資や自治体の補助金だけでなく、クラウドファンディングで資金調達する方が増えています。
クラウドファンディングでは資金調達を行いながら、新規事業や商品・サービスのPRを行い、テストマーケティングで市場のニーズをつかむことが可能です。
つまり、新規事業や、新商品・サービスの販売を行う人にとっては一石三鳥の手法なので、近年多くの人が活用しています。
そこで、今回はクラウドファンディングについて、初心者の方が必要最低限のことが理解できるように簡単に解説します。
【この記事を読むことで得られるメリット】
- クラウドファンディングのことが簡単に理解できる
- 自分がどんなクラウドファンディングを立ち上げればいいかがわかる
【簡単解説】初心者が知っておきたいクラウドファンディングの基礎知識
まずは、クラファン初心者の方が最低限知っておきたいクラウドファンディングの基礎知識をお伝えします。
何らかの目的で、クラウドファンディングに興味のある方は、最低限次のことを知っておくといいでしょう。
クラウドファンディングの意味
クラウドファンディングは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」の2つの意味を組み合わせた造語です。よく「クラファン」と略されます。
つまり、融資や補助金以外の手段で、不特定多数の人(支援者)から資金調達させてもらうことを意味します。
歴史的には、クラウドファンディングはインターネットが発達する前から行われていたと言われており、広い意味では1700年代から始まっていたそうです。
しかし、2001年にアメリカで初めてクラファンサイトが開設されてからは、インターネットで不特定多数の人を集めることが主流になっています。
日本では、2011年に東日本大震災後の復興支援のプロジェクトが多く立ち上がったことをきっかけに広く知られるようになりました。
クラウドファンディングの仕組み
クラウドファディングの仕組みを簡単に説明すると、上図のイメージです。
ここで、起案者とはクラファンを立ち上げて資金調達を募る人で、支援者とは支援金を送って資金調達する人です。
- 起案者(実行者)がMakuakeなどのクラファンサイトでプロジェクトの内容を投稿・公開する
- 支援者(サポーター)がクラファンサイトでプロジェクトをチェックする
- 支援者は、共感したプロジェクトの起案者に対して支援金を支払う
- プロジェクト終了後、起案者はお礼としてリターン(返礼品)を支援者に送る
これが基本的な仕組みですが、後述するように、リターンの設定によってクラウドファンディングの内容は大きく変わります。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングはリターンの種類によって、大きく3種類に分けられます。
種類 | リターン | プロジェクト例 |
購入型クラファン | まだ市場にない商品・サービス | 物販、飲食店、映画、舞台、コンサート |
寄付型クラファン | なし | NPO、自治体、学校などの社会貢献的活動 |
金融型クラファン | 株式、利息、配当 | 事業出資、ファンド、株式投資 |
つまり、リターンによって、クラファンプロジェクトのタイプが全然違います。
クラウドファンディングで最も用いられている購入型クラファンは、起案者が販売者、支援者がお客様というシンプルな関係です。
寄付型クラファンは、リターンを求めないタイプなので、起案者は募金活動をする人、支援者は寄付する人になります。
金融型クラファンは、株式や利息などをリターンとするので、投資や出資のイメージになります。
リターンを何にするかによって、商売なのか、寄付なのか、投資なのか大きく変わってくることは覚えておきましょう。
後述するように、おすすめのクラファンサイトも変わってきますし、確定申告の方法も変わります。
各クラウドファンディングのメリット・デメリットについては、以下の記事をご覧ください。
クラウドファンディングのおすすめサイト
クラウドファンディングでおすすめのクラファンサイトは、上記の種類によって変わります。
購入型クラファン | Makuake、GREEN FUNDING、CAMPFIRE、machi-ya |
寄付型クラファン | READYFOR、good morning、CAMPFIRE、A-port |
金融型クラファン | クラウドバンク、Bankers、Funds、SBIソーシャルレンディング、FUNDINNO、RENOSYクラウドファンディング |
各々プロジェクトに合ったクラファンサイトを選ぶようにしましょう。
クラウドファンディングの資金調達方式
クラウドファンディングの資金調達方式は、大きく分けてAll in方式とAll or nothing方式に分けられます。
All in方式 | 目標金額が未達成でも、集まった支援金額を受け取れる。リターンは提供しなければいけない。 |
All or nothing方式 | 目標金額に1円でも届かなければ、支援金を受け取れない。リターンの提供はすべてキャンセルされる。 |
All in方式とAll or nothing方式では、各々メリット・デメリットが違うので、プロジェクトにあった資金調達方式を選んでください。
なお、物販クラウドファンディングで利用されるGREEN FUNDINGはAll or nothing方式のみとなります。
しかし、目標金額を低めに設定することで、実質的にAll in方式と同様の運用が可能になります。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
クラウドファンディングの大まかな流れ
どの種類のクラウドファンディングでも、以下の流れでプロジェクトを進めます。
- プロジェクトの内容とリターンを決める
- リターン設定と各々の価格設定をする
- クラファンサイトを決めて申請する
- クラファンの告知用LPを作成する
- プロジェクト開始前にプロジェクトの宣伝をする
- プロジェクトを開始する
- プロジェクト開始後もプロジェクトの宣伝をする
- プロジェクトが終了する
- リターン商品があれば確実に支援者に届ける
クラファンの種類によって各ステップの戦略は違ってきますが、基本的な流れは押さえておきましょう。
クラウドファンディングは様々なタスクがあり、1つのプロジェクトを遂行するまで時間がかかります。
そのため、資金調達を得るまでも時間がかかり、即金性がありません。
しかし、プロジェクトを通して新規事業や商品・サービスのPRをしながら、多額の資金調達を得られる点はとても大きいです。
クラウドファンディングに取り組む価値は十分あるでしょう。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
クラウドファンディングの起案者側の確定申告
クラウドファンディングの起案者側の確定申告については、クラファンの種類によって変わってきます。
購入型クラファン | 所得税(個人の場合)、法人税(法人の場合)、消費税 |
寄付型クラファン |
|
金融型クラファン | 所得税(個人の場合)、法人税(法人の場合) |
一番クラウドファンディングで利用者が多い購入型クラファンは、基本的に商売と変わらないので、通常の確定申告と大きく変わりません。
確定申告の詳細は、以下の記事をご覧ください。
クラウドファンディングの補助金・助成金
最近は、各自治体でクラウドファンディングに特化した補助金や助成金が増えています。
補助金、助成金は融資と違って返済不要なので、積極的に申請して、広告宣伝費などに充てることがおすすめです。
例えば、一番知られているのが、東京都のクラウドファンディング活用助成金です。
東京都の助成金ですが、現時点では実質的に事業所や本店が東京になくても活用できます。
毎年新しい補助金・助成金が追加されたり、終了したり、内容が変更されたりすることが多いので、都度確認するようにしてください。
副業・独立起業でクラウドファンディングを活用するなら購入型クラファンがおすすめ
副業もしくは起業して個人事業主として活動してクラウドファンディングを活用するのではあれば、購入型クラファンがおすすめです。
購入型クラウドファンディングで起案できるプロジェクトは、新しい商品・サービスです。
そのため、新しいことに挑戦したい、今までに日本市場にはなかった商品を広げていきたい、でも資金が足りないという場合は、クラウドファンディングを活用する価値は大きいです。
通常の商売であれば、商品や原材料を仕入れてから販売することになるので、多額の初期資金が必要となります。
商品が売れ残ってしまえば大きな赤字になりかねません。
しかし、クラウドファンディングであれば、先に資金調達してもらい、そのなかから商品を生産すればいいのです。
そのため、プロジェクトの広告宣伝費などは必要になりますが、多額の初期資金や在庫リスクを抱えずに挑戦できます。
それでいて、プロジェクトを通じてPRや一般販売に向けたテストマーケティングができるので、試さない手はないでしょう。
クラウドファンディングで成功するための5つの重要ポイントを簡単解説
クラウドファンディングを立ち上げる際は、いくつか重要ポイントがあります。
次のことを意識してクラウドファンディングに取り組むようにしましょう。
支援者がベネフィットを感じるリターン商品とすること
購入型クラウドファンディングでは、支援金と同等の価値を持つリターン商品を提供することになります。
つまり、支援者は、新商品を予約する感覚で支援するので、支援者にとってベネフィットの感じる商品である必要があります。
類似の既製品と比較されることになるので、機能や素材面で1つでも既製品にはないベネフィットを感じる商品をリターンとしましょう。
そのうえで、商品の面白さや斬新さがあると、大きな支援を得られやすくなります。
支援を得られるリターン商品の具体的な特徴や、支援を得られた事例については、以下の記事で詳細をご覧ください。
支援者が共感できる内容のプロジェクトであること
クラウドファンディングでは、プロジェクト内容が共感できる内容であることは必須です。
購入型クラファンであれば、先ほどお伝えしたように、支援者にとってのベネフィットを示すことで、
「こういうのが欲しかった!」
「そうか、その手があったか!」
「ありそうでなかった商品だ!」
といった共感を促すことで、支援を促すことができます。
リターンのない寄付型クラファンは、リターンがない分、購入型より支援を集める難易度が上がります。
しかし、支援者が自分も関わりたいと思えるプロジェクトであれば、支援を集めることはできるでしょう。
炎上に注意する
クラウドファンディングでは、度々炎上したプロジェクトが話題になることがあります。
当たり前ですが、生活費を募るような乞食プロジェクトは間違いなく炎上になり、支援が集まりません。
かつて、「世界を周り子どもたちに夢を書いてもらったスケッチブックをバトンのように繋げる」という女子大生のプロジェクトがありました。
プロジェクト内容自体は一見すると共感が得られそうです。
しかし、集めた支援金の主な使い道が、自分の旅費だったことで大炎上してしまいました。
このように、資金の使い道や活動状況が曖昧では炎上しやすくなります。
特に、寄付型のクラウドファンディングでは注意が必要でしょう。
また、購入型クラファンでも、プロジェクト終了後に発送できなかったり、不良品が多かったりすると稀に炎上します。
しかし、発送遅延はどうしても起こってしまい、防ぐことができないこともあります。
遅延が起きたときにすぐに支援者に報告して、生産・発送状況をこまめに伝えることで炎上を防ぐことができます。
むしろ、支援者の評価が高くなり、次回以降のプロジェクトでも支援を得られることもあるでしょう。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
集客力の高いクラファンサイトを利用する
クラファンサイトは、星の数ほど存在します。
先ほどお伝えしたように、クラファンの種類に応じて適切なクラファンサイトを選ぶことが重要ですが、サイトの集客力も意識しましょう。
あまりマイナーで知られていないクラファンサイトの場合は、ライバルとなる起案者が少ない反面、支援者も少ないです。
そのため、得られる支援が少なく、PRの効果も低いです。
そのため、ご自身のプロジェクトに合って、集客力の高いクラファンサイトを選ぶようにしましょう。
例えば、購入型クラファンでは、Makuake、GREEN FUNDINGなどよく知られたクラファンサイトを選ぶと無難です。
自分のプロジェクトに合っていて、集客力が高いクラファンサイトと考えると、自ずと選択肢は絞られるでしょう。
積極的にプロジェクトを宣伝する
いくら集客力の高いクラファンサイトを選んでも、今は積極的にプロジェクトを宣伝しないと、支援者に気付いてもらえません。
※消費者庁「クラウドファンディング(購入型)の動向整理」より抜粋
上記の調査データから、多くの支援者はSNS(SNS広告含む)や起案者のWebサイト、メディア掲載などからプロジェクトを知ったことがよくわかります。
特に、購入型クラファンで1,000万円以上の支援を得たプロジェクトの大半は、積極的に宣伝しています。
特にクラウドファンディングは、スタートダッシュで成功すると、加速的に最後まで支援が集まりやすくなります。
なるべく、プロジェクト開始前、開始直後の宣伝に力を入れるようにしましょう。
【まとめ】最低限の知識を得たらクラウドファンディングを実践しよう
クラウドファンディングについて、簡単に最低限押さえておきたい知識や重要ポイントをまとめました。
クラウドファンディングは、資金調達ができるうえに、PRしながら市場のニーズをつかむことができる一石三鳥の手法です。
特に、起業して何か新しいことにチャレンジしたい方、物販で新商品を世に広めたい方は購入型クラファンの活用を検討し、実践してみましょう。
物販クラウドファンディングのやり方については、拙著「物販×クラウドファンディング実践大全」に詳しく解説しています。
また、物販クラファンについては、無料相談を随時受け付けています。興味のある方はお問合せフォームより気軽にご連絡ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。